12月7日にヤス・マリーナ・サーキットで行われた2024年F1第24戦アブダビGPのフリー走行1回目。RBから参加し自身二度目の公式セッションF1ドライブを果たしたレッドブル&ホンダ育成ドライバーの岩佐歩夢に、走行後の感想を聞いた。
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⎯⎯ベルギーGP後の8月に行われた、イタリアのイモラ・サーキットでのテスト以来のF1マシン実走行ですね。
岩佐歩夢(以下、岩佐):そうですね。あのときは、TPC(旧車)テストだったので、アルファタウリ時代の2022年型マシン『AT03』をドライブしました。
⎯⎯現行のF1マシンを実走行するのは、4月の日本GP以来ですが、シーズン序盤からマシンはいろいろとアップデートされています。違いは感じましたか?
岩佐:鈴鹿とはサーキットも違いますし、ダウンフォースレベルも異なるので、単純には比較することはできないですが、極端に違うかというとそうではなく、基本的にこのクルマが持っているキャラクターは一緒ですね。
⎯⎯昨年のアブダビGP後のポストシーズンテストでF1マシンを走行させたときは「想像していたより、1.5倍すごかった」と言っていましたが、今回はどうでしたか?
岩佐:昨年のここ(アブダビ)でのテストは初めての経験だったので、それと比べると、今回はかなり余裕がありました。というのも、昨年のアブダビ・テストの後、4月に鈴鹿サーキットというF1マシンを操るのに簡単ではないサーキットでテストしていましたし、その後も8月には2年落ちのF1マシンとはいえ、かなり走り込んでいたので、今回は余裕を持って臨むことができました。
⎯⎯シミュレーターにもかなり乗っているそうですね。
岩佐:今年はほぼ半分のグランプリでイギリスのミルトン・キーンズにあるドライビング・シミュレーターに乗っていて、FP1が始まっている間からシミュレーターに乗っていました。前戦カタールGPでも金曜日にイギリスでシミュレーターに乗ってから土日にカタールに飛び、レース後にイギリスに戻ってシミュレーターに乗ってから、アブダビに入りました。
⎯⎯今日のプログラムはどんな感じだったのでしょうか?
岩佐:見てもらってわかるように、セッションの前半はレーキと言って、空力のデータ取りを行う装置を装着して、空力のテストプログラムを行っていました。チームから与えられたタスクをこなしつつ、自分のパフォーマンスを発揮することができたと思います。
■自己ベストタイムは「ある程度のマージンを持ってのアタック」
⎯⎯空力データを収集した後、レーキを外して、タイヤもソフトに履き替えてアタックしたと思いますが、いかがでしたか?
岩佐:ソフトタイヤに履き替えて2回アタックしました。1回(アタックを)行った後に2周クールダウンラップを入れて、もう1回プッシュしたのですが、2回目のアタック時にはタイヤがベストではなかったので、1回目のアタックが自己ベストタイムとなりました。
⎯⎯2回目のアタックに入る前にピットインしましたよね。それはなぜだったのでしょうか?
岩佐:はい、フロントウイングのフラップを調整しました。もともと路面が滑りやすいFP1ではリヤのスタビリティを上げて走行することになっていたので、アンダーステア傾向になることはわかっていました。チームからは『フラップの調整はいつでもやるから、必要だったら伝えてほしい』と言われていて、1回目のアタックでもう少し曲がってほしいと感じたので、フラップを立ててほしいと伝えました。
ですが、そのときにはすでにリヤタイヤのデグラデーション(性能劣化)が進んでしまっていて、フラップの変更は結果的にやりすぎてしまったかたちとなり、1回目のタイムを更新できませんでした。ただ、これもいい経験で、セッション後に『だったらニュータイヤの1回目のアタックで(走行プランを)立てておけばよかったね』と、チームと情報を共有することができて良かったです。
⎯⎯総合17番手という結果についてはいかがですか?
岩佐:ある程度のマージンを持ってのアタックだったので、もう少しタイムを縮めることはできたと思いますが、今日の僕の仕事はフライデードライバーとして、クリーンな走行データを取ることが第一の目標だったので、それはできたと思います。
⎯⎯アブダビGP後のポストシーズンテストにも乗ると聞いています。
岩佐:僕の方からは何も言えませんが、チャンスがあれば、しっかりと自分のパフォーマンスを示していきたいです。
⎯⎯今後に向けてはいかがでしょうか?
岩佐:いま僕にできることは、サーキットでの実走行できるチャンスが与えられれば、しっかりと自分のパフォーマンスを示して、チームに評価してもらうことです。それをやり続けて(F1の)シートを獲得できるように、その先につなげていきたいと思っています。
⎯⎯セッション後、チーム関係者から何かコメントをもらいましたか。
岩佐:チーム代表の(ローラン)メキースさんから『インプレッシブだった。フライデードライバーとしての仕事をこなしつつ、セットアップをほとんど変更しないなか、しかも少ないアタックラップで、リアム(・ローソン)とのタイム差や他のドライバーとの差を考えると良いパフォーマンスだったし、フライデードライバーとしての走行データもしっかりと残してくれたのは想像以上だったよ』と言ってもらえました。ミディアムでプッシュしたのは3回だけで、その後のソフトタイヤでの自己ベストだったので、その部分は評価してもらいました。