画像提供:マイナビニュース トヨタ自動車と日本電信電話(NTT)は、交通事故ゼロ社会の実現に向けたモビリティ分野におけるAI・通信の共同での取り組みに合意した。
○トヨタとNTTが組んで何をする?
交通事故ゼロ社会の実現には、クルマ側でのデータドリブンによる運転支援技術の高度化や将来的な自動運転技術の開発に加え、ヒト・モビリティ・インフラが「三位一体」で絶えずつながるインフラ協調型の取り組みが必要となる。双方を実現するため、トヨタは安全・安心を第一優先とした「SDV」(Software Defined Vehicle)を開発中。SDVの進化と並行して、高速・高品質な通信基盤と、膨大な情報を収集し賢く処理するAI基盤や計算基盤といったインフラの構築がより重要になる。
トヨタは今後、通信に強みを持つNTTと協力し、切れ目のない通信基盤と大量のデータを賢く処理するAI基盤や計算基盤を組み合わせた「モビリティAI基盤」を構築していく。それによりヒト・モビリティ・インフラをつなげ、交通事故のない安全安心でサステナブルなモビリティ社会の実現を目指す。
モビリティAI基盤は以下の3つの要素で構成される。
①分散型計算基盤(データセンター)
「IOWN」(NTTの光通信技術)を活用し、AIで膨大なデータを分析・処理するための計算資源(データセンター)を分散した場所に設置。再生可能エネルギーが豊富な地域に立地させることで、電力の地産地消と分散した計算資源やAIの連携・処理における高い電力効率を実現し、データ分析・処理に必要となる膨大な電力のグリーン化を推進する。
②インテリジェント通信基盤
市街地や地方・郊外などのさまざまな交通環境・状況に適した切れ目ない通信により、ヒト・モビリティ・インフラを協調させる仕組みを構築。信頼性が高いことに加え、大容量のデータに対する低遅延な通信を実現する。
③AI基盤
「分散型計算基盤」(データセンター)と「インテリジェント通信基盤」を土台にして、ヒト・モビリティ・インフラからの多様なデータを学習・推論するモビリティAIを実現する。
モビリティAI基盤はモビリティ分野での標準化を目指し、両社だけでなく交通事故ゼロ社会の実現という大義に共感する産官学のパートナーに広く活用してもらうことを想定している。
この取り組みにおいて両社は今後、2030年までに5,000億円規模の投資を見込んでいる。2025年以降にモビリティAI基盤の開発をスタートさせ、2028年頃からさまざまなパートナーと三位一体でのインフラ協調による社会実装を開始し、2030年以降の普及拡大を目指していく。(藤田真吾)