トップへ

『おむすび』北村有起哉、「僕もこうやって親子げんかをすればよかったな」 亡き父に思い馳せる

2024年10月30日 10:31  クランクイン!

クランクイン!

連続テレビ小説『おむすび』より主人公・結(橋本環奈)の父・米田聖人役を演じる北村有起哉 (C)NHK
 橋本環奈主演の連続テレビ小説『おむすび』(NHK総合/毎週月~土曜8時ほか)で主人公・結(橋本)の父・米田聖人役を演じる北村有起哉がオフィシャルインタビューに答え、松平健演じる栄吉との親子げんかシーンについて「僕の父(俳優の北村和夫さん)はもう他界していて、振り返ってみると、生前に親子げんかをしたことがなくて。僕もこうやって親子げんかをすればよかったなと少し感傷的になり、僕にとっては大切なシーンになりました」と振り返った。

【写真】結(橋本環奈)の父・聖人(北村有起哉)は栄吉(松平健)としょっちゅう親子げんかを

 本作は、平成元年生まれの米田結(橋本)が、栄養士として、人の心と未来を結んでいく“平成青春グラフィティ”。北村が演じる聖人は、娘のことが心配でしょうがない、真面目な性格。奔放な父の永吉(松平)とは言い争うこともしばしば。元理容師で、今は糸島で農業にいそしんでいる。

 北村は「役者を始めた19歳の下積み時代に無謀な目標を掲げまして、そのひとつが朝ドラのヒロインの父親役を演じたいということでした。僕がヒロインの相手役というのはちょっと無理があるかなとそこは謙虚に(笑)」と語った上、「冗談はさておき、父の北村和夫が『おしん』のしゅうと役を演じていたというのも理由のひとつだったかもしれません。役者として父を超えてやるという若気の至りもありました。役者をやるなら、朝ドラに出演するぐらいの役者にならないと。おこがましいですけれど、目標が高くてもそこが一つの通過点であるぐらいの役者にならないと、と思っていました」と回想。

 その上で、本作出演が決まったときの気持ちを「今回、ヒロインの父役が決まって僕としてはホッとしたという気持ちが強かったです。うちのおふくろもすごく喜んでくれましたね」と明かした。

 演じる役どころについては「聖人は、最近の僕が演じてきた役柄のなかでも、裏のない真面目な普通の役です。娘に対しては異常なほど心配性ですね。ドラマですからその性格をどこかで共感してもらえるように、憎めない部分もみせないといけないと思っています。実際の僕は割とのんびりとのんきなほうなので、父親はそこまで心配するもんかなと想像しながら、それを成立させるために現場でいろいろ試しています。聖人が心配性になった理由が今後描かれますが、やりすぎかもしれないけれど、一本筋が通っていると思っていただけるのではと思います」と語った。

 松平演じる栄吉との関係にも触れ、「聖人と永吉は非常に折り合いが悪く、相当仲が悪い親子です。健さん演じる永吉とはしょっちゅう親子げんかしていますね。監督とも相談してけんかのシーンはなるべく派手にやったほうがいいと、暴れさせてもらいました。親子げんかというのは楽しくてすごく素敵なことなのだなと感じました」としみじみ。「僕の父はもう他界していて、振り返ってみると、生前に親子げんかをしたことがなくて。僕もこうやって親子げんかをすればよかったなと少し感傷的になり、僕にとっては大切なシーンになりました」と話した。

 阪神・淡路大震災のシーンについては「エキストラさん含め、本当にリアルに学校内の避難所を再現していただきました。ここでなんとか歯を食いしばりながら頑張ったうちの一人ですから、この風景に溶け込めるようにしなければと思いました」と語った。

 さらに「避難所に永吉が来て『糸島にいくぞ』と言った時に聖人はまず反対しましたが、そのシーンのテストで、予想していたものとは違う感情が出てきたんです。本当に、『それだけはできない』って思いました。こんなに悲しくて悔しい。聖人ってこういうやつなんだ、と驚きました。永吉は聖人のそういう部分を見抜いているから、『子どもとどっちをとるんだ』と迫るんですね」と、役から芽生えてきた感情を説明。

 聖人の神戸に対する思いを「ある意味、聖人は神戸に親父と離れたくて糸島から避難してきたようなもんですからね。右も左もわからない神戸でとにかくがむしゃらにやっていたんだと思います。そんな時に、セリフにもありますが地元の商店街の人たちが温かく迎え入れてくれて、多分18歳の聖人を親身になって支えてくれたのでしょう。聖人はそういう恩を決して忘れないタイプ。ものすごく義理堅く、人並以上にそういうものを大切にするので、被災して神戸から離れることになったことを『ひどいことをした、中途半端なことをした』とより強く感じているのだと思います」と推測した。

 最後に本作の見どころについて「登場人物のほとんどの人が、やさしくて温かい人たちばかり。それゆえに、人から頼まれたことを断れなかったり巻き込まれたり翻弄されるヒロインが、どんどん成長していき、父親である僕と親子げんかが起きたりと日常によくあるような出来事が丁寧に描かれます。そしてこのドラマは、明るいシーンの後に、大きなうねりとともに急にシリアスなシーンが起きるなど展開が読めません。そのあたりも楽しんでいただけたらと思います」と視聴者にメッセージを寄せた。

 連続テレビ小説『おむすび』は、NHK総合にて毎週月~土曜8時ほか放送。