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「トラックに殺されそうになった」超接近で追い越し、自転車の男性はジャージ破ける 犯罪では?

2024年10月29日 10:01  弁護士ドットコム

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「トラックに殺されそうになったよ!」。自転車に乗っていた人がトラックと接触したとして、動画付きで訴えたXでの投稿が大きな話題になっている。


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動画によると、自転車は片側一車線とみられる直線道路の左側を走行していた。そこに後ろから高速度で走ってきたトラックが自転車の横スレスレを追い越していったが、その際にトラックと自転車に乗っていた投稿者が接触しているように見えた。



追い越された直後、投稿者は「え!え!当たったよ!今当たったよ、俺」と声を上げており、別の投稿によれば、「ジャージが傷ついただけで、身体はなんともありません」という状況だったようだ。



投稿者は、「邪魔だったんだろうけど、触れるほどの幅寄せ辞めて~ 会社名もナンバーもバッチリ映ってるから、僕が死んでたらすぐ捕まっちゃうで!」と振り返り、「みんなも気をつけて!」と呼びかけていた。



この投稿に対して、トラック運転手への批判が殺到。「(トラックの運転手が)悪意剥き出し」「考えられないほど近い」「一歩間違えば死亡事故」といった声が多く寄せられた。



死傷事故とならなかっただけでも不幸中の幸いといえそうな場面だったが、あれほど危険な運転をしていたことは犯罪にはならないのだろうか。冨本和男弁護士に聞いた。



●道交法違反や暴行罪が成立しうる

「道路交通法違反」や「暴行罪」に当たるのではと考えます。



道路交通法28条4項は、車両が他の車両(自転車も軽車両であり車両)を追い越そうとする場合、追い越ししようとする車両は、周辺の交通にも十分に注意し、かつ、前を走る車等の速度および進路ならびに道路の状況に応じて、できる限り安全な速度と方法で進行しなければならない、と定めています。



今回のケースでは、動画を見る限り、トラックが自転車の横スレスレを高速度で追い越しているわけですので、安全な速度と方法で進行しているとはいえません。



したがって、同条違反に当たると考えます。罰則は、「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」です(道路交通法117条の2の2第1項8号ホ)。



接触してジャージが破けたということですので、人がケガをしているわけではないようですが、道路交通法の「交通事故」は「車両等の交通による人の死傷または物の損壊」(道交法67条1項)ですので「交通事故」に当たります。



交通事故を起こした人には、警察に事故の報告をしなければならない義務があります(道交法72条1項後段)。この義務違反を犯した場合の罰則は、「3月以下の懲役または5万円以下の罰金」です(道交法119条1項17号)。



次に、暴行罪(刑法208条)についてですが、ここでいう「暴行」とは人の身体に対する有形力の行使です。



今回のケースでは、トラックが人の着衣に触れる程の幅寄せをしているわけですから、「暴行」に当たると考えます。



暴行の故意についても、トラック運転手がわざと幅寄せしたのであればもちろん、接触するかもしれないが構わないと認識・認容していたのであれば認められると考えられます。



暴行罪の罰則は、「2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料」です。




【取材協力弁護士】
冨本 和男(とみもと・かずお)弁護士
債務整理・離婚等の一般民事事件の他刑事事件(示談交渉、保釈請求、公判弁護)も多く扱っている。
事務所名:法律事務所あすか
事務所URL:http://www.aska-law.jp