人は怒鳴られると萎縮し、正常な判断を失う。恐怖で支配するのがブラック企業の常套手段だ。
埼玉県の30代女性は、紹介予定派遣で入社したクリニックがブラックだったと打ち明けた。
「仕事終わりに毎回、院長に休憩に呼び出され、『入社させるのにいくら払ってる(紹介料)と思ってるんだ!! お前の1か月分の給料より多いんだぞ!!』と怒鳴られてました」
採用決定時に派遣会社に支払った手数料のことだろう。入社後2週間にわたり、毎日叱責され続けたという。(文:天音琴葉)
終業後に世間話を1~2時間聞かされ帰れず
現在、女性は医療事務の職に就いている。だが当時は、「医療関連はほとんど経験ないまま、派遣会社から紹介で入社した」というから、仕事も上手くできなかったのだろう。しかし当時の女性は、怒鳴られ続けたことで正常な判断を失っていたのか、
「経験が浅いので、覚えることも多いですし、職場に慣れなければと自分なりに取り組んでいるのに……」
と問題を一人で抱え込み働き続けた。次第に出勤することが億劫になっていったが、それでも我慢して出社していたというから相当だ。だがついに体が悲鳴を上げる。極度のストレスから帯状疱疹になってしまったのだ。
これを機に院長からの呼び出し回数は減ったが、代わりに新たな問題が起きたという。
「終業後に院長の世間話を1~2時間聞かされ、なかなか帰宅できないのもつらかったです」
もう辞めたらいいのにと誰もが思うだろう。しかし女性は「紹介してもらった恩を考えるとすぐには辞められない」と働き続けたという。院長に派遣会社への手数料の件で責められたことを相当引きずっていたのか。
そんな女性もついに辞める決意をした。すると院長がごねたのか、なかなか退職できなかったそう。
「労基にも相談に行きましたが、院長には逆ギレされる始末。退職するまで半年程かかってしまいました。もっと早く辞めておけば良かったと今でも後悔しています」
心身をボロボロにしてまで働く必要はない。仕事はほかにもあるのだから。
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