Text by CINRA編集部
ヘラルボニーが運営するブランド「HERALBONY」の旗艦店「ISAI PARK」が来春オープンする。
出店場所は岩手・盛岡のカワトク百貨店の1階正面エントランスの並びのフロア約330平方メートルの区画。新店舗面積は従来のカワトク百貨店内店舗の約3倍を予定しており、ショップ、ギャラリー、カフェを併設する新エリアは「へラルボニーが目指す未来を可視化した公園」という意味を込めて「ISAI PARK」と名付けたという。
障害のある人の可能性を体験できるショップや、地元の季節の食材を使ったカフェ、多様なイベントの開催を想定しているとのこと。また、専用の風除室(※入口と室内の間に設けられる雨風や外気の侵入を防ぐ空間)が新設され、これにより店舗に直接出入りができる玄関口が設置される。
【松田文登(ヘラルボニー)のコメント】
ヘラルボニーの世界観を大きな店舗で体現する
抽象的な言い方になりますが、ヘラルボニーは「ハードは変えられなくても、ソフトを変えていける会社」だと思っています。
百貨店でコラボレーションをやると、障害のある子どもの親御さんが、息子さん、娘さんを連れてあたりまえに店舗に足を運んでくれます。たとえば走ってしまうとか、騒いでしまうとか、一般的なお店では迷惑がられてしまう可能性がある人たちが、ヘラルボニー的世界観の中ではあたりまえに存在しています。
本当の意味で誰にでもに開いた場所をつくるというのは、バリアフリーにすればOKという話ではなくて、「そこにいていいんだ」という帰属意識を作っていくということ。
同じ空間でもヘラルボニーが入ることで、そこに流れる空気感、そして訪れた人の行動を変えていける可能性がある。これが「ソフトを変える」ということです。
比較的小さな店舗だと小さな世界になってしまいますが、大きな店舗で施工を担うからこそ作れる世界観というものがあるはず。今回ほどの大きな場所を任せてもらえるということは、ヘラルボニーにとって特別なチャレンジです。
いまの時代、SDGsやDE&Iに関心を持つ人が増えていますが、それらを実現するとは具体的にどういうことなのかイメージしづらいと感じている人もいるかもしれません。
そんな中で、盛岡の街の真ん中に「ただそこにいていい」という空気が流れる場所をつくることには大きな意味がある。たくさんの人に新しい価値観が体現されている現場に触れてもらうことで、SDGsやDE&Iといった概念を地に足のついたものにできればいいなと思っています。