ひとくちに「困ったお客さん」と言っても色々だが、賃貸アパートやマンションの部屋を「ゴミ屋敷」にしてしまう住人もいる。不動産管理会社に勤務する40代の男性は、さまざまな「やばい客」に遭遇することが多く、ゴミ屋敷の対応も3か月に1度くらいの頻度で起こるという。
「素知らぬ顔して住んでて家が半端ないゴミ屋敷ってのもよくあります。そういう人って、こちらが訪問しても出てくるのに時間かかるので分かりやすいです。ゴミを掻き分けてくるか、山積みのゴミの上をほふく前進で出てくるレンジャー部隊みたいな猛者も居ますよ」
ゴミを腹ばいで進めるほど積み上げているのだから恐ろしい。しかしゴミ屋敷は近隣から悪臭やゴキブリ、ネズミなどのクレームが来る可能性があり大問題だ。編集部ではその対応をしているという男性に詳しく話を聞いた。(文:篠原みつき)
ペットボトルに尿を溜めていく住人を「通称ペットボトラーと呼んでます」
ゴミ屋敷が発覚するきっかけは、家賃の滞納が多いという。電話や手紙で督促しても対応してくれない場合は、直接訪問する。相手がゴミの山を築いている場合の状況は壮絶だ。
「ゴミ屋敷に住んでる人はゴミの山を見られたらアカンと思ってるようで、玄関も2センチくらいしか開けません。『もう分かってるから、開けて!』って言うと、申し訳無さそうに開けるのが多いですね。それで、中が半端ないゴミっていうパターン」
ゴミの種類は人によってまちまちだが、大量の段ボールや生ゴミが多く「コンビニ弁当のガラとかカップラーメンの空き容器」などで悪臭が立ち込め、虫が飛び交っているという。さらに衝撃的な事態になっていることも。
「ゴミに埋め尽くされてるとトイレも使えないので、ペットボトルに小便をしてそのペットボトルを部屋に溜め込む、そんな人を通称ペットボトラーと呼んでます。最悪の場合はそんなペットボトルが数百本山積みになってる事もあります」
処分することを考えるとめまいがするが、発見後は「自力で片付けさせる」「業者を手配する」などの方法で清掃してもらうという。もちろん、自力で片付けられる住人はほとんどいない。
「1KでもゴミMAXレベルだと業者入れると60万円ぐらいかかります。なので費用を伝えるとみんな『自力で片付けます』とか言うのですが、ゴミ屋敷の住人って大体が“自己管理が病的に出来ない人”なので、『無理だからやめて(笑)』って言ってます。本人に任せていたら、状況によってはさらにゴミが増えるなんて事もあります」
清掃費用は基本的に本人負担でお願いしているが、本人に支払い能力が無い場合は保証人に協力を仰ぐ。「最悪の場合は家主さんの負担になるのでたまったもんじゃありません」と苦笑いで明かした。
しかしそもそも、なぜゴミ屋敷にしてしまうのだろうか。
「一人暮らしの男性がよくあるパターンで、何でこんな事になったのか聞いても『いつか片付けようと思ってたらこうなっちゃいました』ってのが一番多いですね。特徴は、簡単に言えば自己管理が出来ない人。例えば片付けが出来ない、計画性が無い、お金の管理も出来ない。給料入っても翌給料日までに無一文になっちゃう人とか」
こんな客たちと日々向き合うのは苦労が多いだろう。こともなげに語ってくれたが、ストレスが多そうな仕事である。
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