社員の安全より独断が先行するトップについて行くのは不安だ。福島県に住む50代後半の女性は、東日本大震災の日に社長が信じられない行動をしてきたと振り返る。
「小規模な同族会社で働いていたが、周囲の会社ではみんな慌てて早退、または強制的に仕事を切り上げさせられ帰宅を促されていた」
それは地震直後で騒然とする中でのことだった。(文:真鍋リイサ)
社長「私が帰るまでは誰も帰ってはならない」
大震災の中で、早急に社員の身の安全を確保する動きを見せた周囲の会社。ところが、女性の働く会社では、
「その日出張中の社長から電話があり、その内容はまさかの『私が帰るまでは誰も帰ってはならない』という指示」
あまりに自分勝手すぎる対応に驚愕だ。案の定、震災の影響で高速道路も止まり、一般道も停電のため信号が機能しないなどの理由から大混雑となった。
「結局社長が戻ったのは夜の11時過ぎ。それから全員帰社。社内にある支援物資が配られることもなく、社長から労いの言葉も感謝の言葉も掛けられずに帰宅」
大地震で不安が募る中、社長の独断のせいで社員が大迷惑をこうむったのだ。社員の家族も遅い帰宅に心配していただろう。それで感謝も支援も一切ないとは、社長の気がしれない。
「終わりだな、この会社」
と絶望的につぶやくのも頷ける。女性は「まだあるけど……」と書いており、この他にも社長のワンマンぶりに苦労したのだろう。
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