我が子に言われた言葉に衝撃を受けたことはあるだろうか。東京都の50代女性も、そんな経験があるという。当時高校生だった息子に、洗濯物の靴下について注意したときだった。
「いつまでたっても靴下を裏返しのまま洗濯に出す息子に何年もイライラを募らせていた頃でした。ある日、いつものように裏返しで出されていた靴下の指摘をしたところ、『裏返しのままの靴下は、裏返しのまま洗濯して、裏返しのまま返してくれたらいい。それの何が問題?』と、低いトーンで淡々と早口言葉のような言葉が返ってきたのです」
筋は通っているものの、生意気な口答えだと受け取る親もいるだろう。女性も「衝撃でした」と当時を振り返った。このあと息子にどのような言葉を返したのだろうか。(文:天音琴葉)
「私は何にこだわっていたのかと」と目から鱗が落ちた
衝撃を受けたものの、「ああ、と思いました。その通りだと」と、息子の言葉が腑に落ちたようだ。次のように続けた。
「私は何にこだわっていたのかと。(私が)親から言われてきたことをしてきていただけで、洗濯物は表返しにして畳むのが当たり前だったので裏返しであることを問題にしていただけだと気付かされました。なんという合理的な意見でしょう! 衝撃以上の感嘆に近いものでもありました」
さらに、「私の中で私を縛るイライラの原因の『当たり前ルール(思い込み?)』が解放された瞬間でした」と、目から鱗が落ちたようだ。この件を友人に話したら、「洗濯物は裏返して洗濯した方が実は汚れもよく落ちるし(表が)傷まなくていいのよ」とも教えられたという。息子の行動は理にかなっていたというわけだ。
こうして裏返したまま息子の洗濯物を返すようになり、「それでなんの問題もない!」と思い直したものの、「やっぱり表返して戻していました」という女性。長年の習慣や、息子が着やすいようにという配慮からだろう。
「でももう裏返しの洗濯物を見てもイライラすることはなくなり、むしろ息子の言葉を思い返しては表返すのが楽しくも。まさに完敗(笑)当時、教職関連に従事していた私にとっては、言いたいことを論理的に伝えられるようになった息子を心から誇らしく思えた、今でも忘れられないエピソードです」
互いに本音を伝えたからこその結果だろう。いずれ親子は離れ離れになるが、言ったことでの後悔より、言えなかった後悔のほうが引きずるもの。言いたいことは言えるうちに言ったほうがいいのでは。
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