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チップ・ガナッシ・キャデラックが有終の美。GTP王座はポルシェ・ペンスキーが獲得/IMSA最終戦

2024年10月14日 21:00  AUTOSPORT web

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チップ・ガナッシ・レーシングが、同チームにとってキャデラックVシリーズ.Rでの最後のレースで今季2度目となる総合優勝を飾った。 2024年IMSA第11戦プチ・ル・マン
 10月12日、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権第11戦『モチュール・プチ・ル・マン』がアメリカ・ジョージア州のミシュラン・レースウェイ・ロード・アトランタで行われ、キャデラック・レーシングの01号車キャデラックVシリーズ.Rが優勝した。

 セバスチャン・ブルデーとレンガー・バン・デル・ザンデのペアに第3ドライバーとしてスコット・ディクソンが加わった、チップ・ガナッシ・レーシングが運営するキャデラックチームは、2024年シーズンの最終戦となった10時間レースの序盤、センサー関連の違反で後れを取ったが、これを克服し劇的な勝利を収めている。

 レースの最終盤、乳がん検診の啓発活動を支援するピンクのリバリーをまとった01号車キャデラックに乗り込んだバン・デル・ザンデは、残り15分でニック・タンディ駆る6番車ポルシェ963(ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ)を相手にターン1で大胆にオーバーテイクを決め、GTPクラスのトップに浮上した。。

 このキャデラックは前述の違反によってペナルティを受け、最初の1時間でリードラップから脱落。また、2時間目にスピンを喫したほか、3時間目にはLMP2クラスのマシンと接触で非があるとしてドライブスルーペナルティを課せられていた。

 この状況が好転したのは10時間目のこと。当時2番手を走行していた10号車アキュラARX-06(ウェイン・テイラー・レーシング・ウィズ・アンドレッティ)を巻き込んだGTDマシンのアクシデントによって導入された5度目のフルコース・コーションのあと、01号車キャデラックは戦線復帰を果たす。レースのラストは残り35分間のスプリント。GTPクラスでは6台のマシンがリードラップからリスタートを切ることとなった。

 その後の展開は先に述べたとおり。バン・デル・ザンデのドライブでポルシェからトップを奪った“ピンク・キャデラック”は、そのままトップでチェッカーフラッグを受け、この『プチ・ル・マン』がキャデラックでの最後のレースとなったチップ・ガナッシ・レーシングに勝利の美酒をもたらした。

 一方、ポジションを奪われた6号車ポルシェは、順位を下げた直後に24号車BMW MハイブリッドV8(BMW MチームRLL)から接触を受けたものの2位を維持し表彰台を確保した。対してフィリップ・エングのBMWはこのアクシデントによってタイヤにダメージを受けてピットインを余儀なくされる。さらにドライブスルーペナルティも課され、最終的に4位でレースを終えることとなった。

■GTD王者がGTDプロでもチャンピオン獲得

 これにより、戦前からドライバーとチームの両チャンピオンシップ獲得が濃厚だった7号車ポルシェ963(ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ)のペアが労せず3位を獲得。レギュラードライバーのデイン・キャメロンとフェリペ・ナッセがGTPクラスの王者に輝いた。キャメロンによるIMSAのチャンピオン獲得は4度目、ナッセの戴冠は3度目となっている。

 また、土曜日のレースで計4台の963をグリッドからスタートさせたポルシェはメーカータイトルを獲得。チームチャンピオンの栄冠はポルシェ・ペンスキー・モータースポーツの手に渡った。

 なお、リチャード・ウエストブルックの引退レースとなった今回、彼が乗り込んだ85号車ポルシェ963(JDCミラー・モータースポーツ)はパワーステアリングにトラブルが発生したため、無念のリタイアを喫している。

 ジャック・エイトケンの予選アタックでポールポジションを獲得していた31号車キャデラックVシリーズ.R(ウェーレン・キャデラック・レーシング)は、レース序盤に2度のペナルティを受けて後退。最終順位は5位となった。

 LMP2クラスではTDSレーシングの11号車オレカ07・ギブソンが、ライリーの74号車オレカとエラ・モータースポーツの18号車オレカを抑え最終戦を制した。LMP2チャンピオンは、このレースで4位に入ったインターユーロポル・バイ・PR1マティアセン・モータースポーツ(52号車オレカ07)のトム・ディルマンとニック・ブールが獲得している。

 GTDプロクラスはアイアン・リンクスが走らせる19号車ランボルギーニ・ウラカンGT3エボ2が初優勝を達成。チャンピオンシップ争いでは、序盤にマシントラブルを抱えたAOレーシング(77号車ポルシェ911 GT3 R)がクラス11位と苦戦するなか、ランキング2位のハート・オブ・レーシング(23号車アストンマーティン・バンテージAMR GT3エボ)は逆転のために必要な2位のポジションにあと一歩の3位に終わる。

 この結果、3122ポイント対3118ポイントという僅差でラウリン・ハインリッヒと恐竜ポルシェ“レキシー”のチームに軍配が上がり、AOレーシングは2連覇(2023年はGTDクラスで戴冠)を決めている。

 プロアマのGTDクラスはコンクエスト・レーシングの34号車フェラーリ296 GT3が、2位となった78号車ランボルギーニ・ウラカンGT3エボ2(フォルテ・レーシング)をわずか0.718秒差で振り切ってクラスウイナーに。タイトルはウインワード・レーシング(57号車メルセデスAMG GT3エボ)と同チームのフィリップ・エリス/ラッセル・ワードが獲得した。