お互いを知り尽くしているつもりの夫婦でも、相手の言動にドン引きする事はある。東京都の60代女性(年収400万円)はこう語る。
「夫が車を買いたいと言っていろいろなお店を回っていることは知っていた」
あちこちのカーディーラーで車を見てきた夫は、妻に言いづらい様子である相談をしてきたというが……。(文:篠原みつき)
悩む理由は「まさかそんなに値引きするとは思わなかった」
「ある日『どうしよう…』と言うので聞いてみると、『ふたつのお店に絞ってかなり無理めの値段交渉をしたところ両方ともOKが出たが、2台は買えない』(当たり前)とのこと」
夫があちこち見て回った結果、2社がかなり値下げしてくれることになったのだ。ただ、どちらかを断らねばならないので夫は困っている。本来であれば普通に断ればいいだけだろう。女性が「なぜそんなことをしたか」と聞くと
「まさかそんなに値引きするとは思わなかった」
という返事だった。ここで胸中を「まただよ」と書く女性。どうやらこれまでも、夫が後先を考えず行動し、収拾がつかなくなった事があったのだろう。
呆れつつも「どっちの車が本当はほしいの?」と聞くと夫はAだと言った。
「ならBは断ればいいじゃんと言うと、『たぶん上司にまで聞いている』と夫は小声で呟いた。きっとまたええかっこしたんだろうな……」
夫は、カーディーラーの営業担当者が上司に無理な値下げを頼んでくれたから、それを断るのは忍びないと気にしていたのだろう。しかし、やはり2台買う訳にもいかない。女性は「断るなら早くしないとさらに迷惑をかけるので私が断りの電話をした」と、結局いい顔をしたい夫の尻拭いをすることになった。
「当然相手も食い下がる。『すみません。でもお財布を握っているのは私なんです。本当に申し訳ないです。買えません』」
こうきっぱり断ったものの、「なんて思われただろう」と後味は悪かったようだ。自分で始末がつけられない夫にドン引きし、最後にこう書いていた。
「なんで学習しないんだろう。下取りに出す車と一緒に夫も引き取ってもらいたいと心から願った思い出」