『わたしは最悪。』のレナーテ・レインスヴェが主演し、『ぼくのエリ 200歳の少女』『ボーダー 二つの世界』のヨン・アイヴィデ・リンドクヴィストが脚本を手掛けた北欧メランコリック・ホラー映画『Handling the Undead(英題)』が、邦題を『アンデッド/愛しき者の不在』として2025年1月17日より公開されることが決定。場面写真3点が解禁された。
【写真】悲しみと喪失と希望を描く『アンデッド/愛しき者の不在』場面写真
本作品は、2024年第40回サンダンス映画祭でサウンドデザイナーが特別審査員賞を受賞、監督が審査員特別賞にノミネートされたほか、ノルウェーのアカデミー賞と呼ばれるノルウェー国際映画祭のアマンダ賞で4冠&6ノミネートに輝いた話題作。A24、ブラムハウスに続く独立系映画スタジオ「NEON」が英国と北米の配給権を獲得し、今年5月に公開した(本国ノルウェー公開は2月)。
MVや短編映画を手がけてきた1989年生まれのテア・ヴィスタンダルの長編デビュー作で、ヌーシャテル国際ファンタスティック映画祭、ヨーテボリ映画祭、リビエラ国際映画祭などで監督賞を受賞。『テルマ』『わたしは最悪。』のヨアキム・トリアー、『イノセンツ』のエスキル・フォクトにつづくノルウェーの新星監督として期待されている。
『マルホランド・ドライブ』に衝撃を受けて映画業界に入ったというヴィスタンダル監督は、本作のインスパイア作品リストとして、『惑星ソラリス』、『ミツバチのささやき』、『エコール』、『SHAME -シェイム-』、新作『Cloud クラウド』がアカデミー賞国際長編映画賞の日本代表作品に決定したばかりの黒沢清監督の出世作『CURE キュア』などを挙げている。
2005年に発表した同名小説の作者で本作品の脚本を監督と共同で手掛けたのは、大ヒット映画『ぼくのエリ 200歳の少女』、『ボーダー 二つの世界』で知られるスウェーデンの鬼才ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィスト。フィクショナルな存在をマイノリティのメタファーとして描いてきた気鋭の作家が、本作ではアンデッド(生ける屍)を登場させ、愛の所在を問いかける。
主演は、第74回カンヌ国際映画祭で主演女優賞を獲得した『わたしは最悪。』のレナーテ・レインスヴェ。そのほか、『わたしは最悪。』でレナーテと共演し、オリヴィエ・アサイヤス監督作『パーソナル・ショッパー』やミア・ハンセン=ラブ監督作『ベルイマン島にて』などで知られる実力派俳優アンデルシュ・ダニエルセン・リー、ノルウェー国際映画祭アマンダ賞名誉賞受賞のレジェンド俳優、ビヨーン・スンクェストとベンテ・ボシュン、『幸せなひとりぼっち』のイラン系スウェーデン人俳優バハール・パルスなどのベテラン勢が脇を固め、生と死の境目を濃密に感じさせる重厚な雰囲気を作り出している。
現代のオスロ。息子を亡くしたばかりのアナ(レナーテ・レインスヴェ)とその父マーラー(ビヨーン・スンクェスト)は悲しみに暮れていた。墓地で微かな音を聞いたマーラーは墓を掘り起こし、埋められていた孫の身体を家に連れて帰る。鬱状態だったアナは生気を取り戻し、人目につかない山荘に親子で隠れ住む。しかし還ってきた最愛の息子は、瞬きや呼吸はするものの、全く言葉を発しない。そんなとき、招かれざる訪問者が山荘に現れる。そして同じ頃、別の家族のもとでも、悲劇と歓喜が訪れていた…。
メディアから「最上級。メランコリー薫る美麗な作品」(The Playlist)、「知性と感情、道徳心に深く長く響く映画」(Variety)などの称賛が寄せられている本作。3つの家族に焦点を当てた日本の怪談的要素のあるストーリーではあるが、同時にメランコリックかつポエティックで、悲しみと喪失と希望についての物語でもある。
極力抑えられた登場人物の感情や台詞、慎重な計算のもと35mmフィルムで撮影された構図、ゆったりとしたカメラの動き…それらによって内包された美しさと不気味さがにじみ出た本作は、やるせなくエモーショナルなラストまで絶え間なく命への問いをたたみかけてくる(※劇場ではDCP上映)。
映画『アンデッド/愛しき者の不在』は、2025年1月17日よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿ピカデリーほかにて公開。