好調トヨタ、多難のデイ2でワン・ツー体制確保。オジエには二日連続の悲運／WRCチリ

　9月28日（土）、2024年WRC世界ラリー選手権の第11戦『ラリー・チリ・ビオビオ』のデイ2はスペシャルステージ（SS）7から12の走行が行われ、TOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム（TGR-WRT）からは4台のトヨタGRヤリス・ラリー1が出走した。

　デイ2終了時点では、カッレ・ロバンペラ／ヨンネ・ハルットゥネン組（69号車）が総合首位、エルフィン・エバンス／スコット・マーティン組（33号車）が総合2番手とデイ1よりもより上のポジションの表彰台圏内を確保。サミ・パヤリ／エンニ・マルコネン組（5号車）は総合6番手につけ、セバスチャン・オジエ／ヴァンサン・ランデ組はSS8でクラッシュした影響でデイリタイアとなっている。

　WRCチリのデイ2は、サービスパーク南側、ビオビオ川の西側エリアで3本のステージを各2回走行。その合計距離は139.20kmと、三日間で最長の一日となった。デイ2のグラベル（未舗装路）ステージは全体的にデイ1よりもテクニカルで、タイヤの摩耗も厳しい路面が多く、デイ1とやや異なる特徴を持っていた。さらに、雨や濃い霧という荒れた天候も課題となり、非常に難しいコンディションでの戦いとなった。

　デイ1で総合2番手のオット・タナック（ヒョンデi20 Nラリー1）に3秒差、総合3番手のロバンペラに10.1秒差を築きトップに立ったエバンスは、デイ2の午前中でも好調を維持。オープニングのSS7でベストタイムを記録した。

　一方、ロバンペラはSS8で2番手タイムのエバンスに9.7秒差をつけるベストタイムを刻み、総合2番手にポジションアップ。首位との差も一気に1.8秒差まで縮まった。だが、雨と霧が強まったSS9では、ここまでのタイヤセーブを活かしたエバンスがロバンペラよりも9.5秒速く走り、午前中のステージが終了した時点で両者の差は11.3秒に拡がった。

　サービスパークの『コンセプシオン』でのミッドデイ・サービスを経て始まった午後の再走ステージは、SS10でエバンスがベストタイムを記録してリードを13.6秒に拡大。しかし、続くSS11では濃霧により視界が大幅に悪化し、出走順が遅く霧がさらに濃くなったタイミングで走行したエバンスは、ベストタイムのライバルから24.1秒も遅れることに。

　その結果、2番手タイムのロバンペラが首位に立ち、エバンスは5.5秒差の総合2番手に順位を下げることに。勢いを味方にしたロバンペラはSS12でも2番手タイムを刻み、リードを15.1秒に拡げてデイ2を終えた。エバンスは総合3番手のタナクに対して18.5秒の差を築き、TGR-WRTはワン・ツー体制で土曜日を締めくくっている。

　そして、キャリア2回目のトップカテゴリー挑戦となるパヤリは、トヨタGRヤリス・ラリー1について多くを学びながら走行。結果としては前日よりも順位をふたつ下げたが、確実性の高いクレバーな走りを続けて総合6番手でデイ2を終えた。

　また、デイ1で3本のベストタイムを刻むも、パンクにより大きく遅れていたオジエは、SS7で2番手タイムを記録。不利な早い出走順にも関わらず、好タイムをマークした。

　続くSS8でもオジエは終盤まで速いペースを維持していたが、テクニカルな連続コーナーで岩に当たり、右フロントサスペンションを破損し、デイリタイアとなった。その後チームはサービスでクルマを修理し、オジエはデイ3で再出走する予定となっている。

　ヤリ-マティ・ラトバラチーム代表は、「今日の我々のパフォーマンスにはとても満足している」とワン・ツー体制を築いたデイ2の戦いを讃える。

「カッレ（・ロバンペラ）とエルフィン（・エバンス）はとてもいい走りを続け、素晴らしい仕事をしてくれた。非常に厳しいコンディションだったが、うまく切り抜ければ大幅なタイム差をつけられるということを、彼らは示してくれた」

「また、サミ（・パヤリ）のパフォーマンスにもとても満足している。彼にとってもっとも重要なのは経験を積むことだったので、霧のなかを彼は注意深く走った。このような極めて厳しいコンディションでは、クルマの限界を感じることが難しくなるので、彼のアプローチは正解だっただろう」

「セブ（セバスチャン・オジエの愛称）が午前中にクルマを止めざるを得なかったのは残念だったが、明日には復帰できると思う。この週末はここまで非常に速いペースで走っているので、彼のモチベーションはきっと高いはずだ」

　総合優勝とスーパーサンデーのポイントをかけて争われるデイ3は、SS13からSS16までの全4本を予定。ステージの総走行距離は54.80km、リエゾン（公道区間）も含めた総距離は291.38kmだ。