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「ドライバーの感触とJRPや横浜ゴムの⽅向性の差をどう埋めるか」と高星明誠。SF開発テストで来季用ドライタイヤを確認

2024年09月28日 17:50  AUTOSPORT web

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2024スーパーフォーミュラ第3回カーボンニュートラル開発テスト 高星明誠がドライブするRed Tiger SF23(⾚寅)
 9月28日、全日本スーパーフォーミュラ選手権を開催する日本レースプロモーション(JRP)は、9月26~27日に静岡県の富士スピードウェイで実施した今季三度目となるカーボンニュートラル開発テスト(CN開発テスト)のレポートを公開した。

 JRPでは、2022年から『SUPER FORMULA NEXT50』プロジェクトを通じ、『カーボンニュートラルへの対応』と『エンターテインメント性の向上』のふたつをテーマに、メーカーの垣根を越えてCN開発テストを繰り返し実施している。

 2023年に導⼊された現行車両の『SF23』には、カーボンニュートラルの対応として、原材料ならびに製造過程でのCO2排出量を約75%抑制したバイオコンポジット素材や、天然由来の配合剤やリサイクル素材等、再⽣可能原料を活⽤した横浜ゴムの“カーボンニュートラル対応レーシングタイヤ”などが採用されている。

 今回富士スピードウェイで行われたCN開発テストでは、来季への導⼊が⽬指されている新ドライタイヤ⽤コンパウンドおよび、タイヤ内構造であるケーシングの最終確認テストに加え、前回に引き続きステアリングや各種ECUの装着・動作テストも実施された。

 CN開発テストには塚越広⼤がドライブするWhite Tiger SF23(⽩寅)と、高星明誠がステアリングを握ったRed Tiger SF23(⾚寅)の2台が参加し、初⽇は午前と午後で計4時間走行。天気予報で2日目が天となっていたため、両ドライバーは2セッションでそれぞれ110周のドライ路面を走行し多くの情報とデータを収集したという。

 2⽇⽬は路⾯に前夜の⾬によるウエットパッチが残るものの、初⽇に続いてドライタイヤでのテストを実施。午前の3時間セッションでは、塚越が47周、⾼星が59周を走行し、⾞両セットアップも調整しながらタイヤとの合わせ込み作業を⾏った。午後セッションも曇りながらドライ路⾯でテストが行われ、1時間30分の走行枠で引き続きドライタイヤのテストが行われたとのこと。

 テストを終えたJRPは「収集、蓄積されたデータの分析、タイヤの磨耗状況などを詳しく分析したうえで、今後は来季に向けたドライタイヤの最終仕様を決定するプロセスに⼊っていきます」と述べ、11月12日にスポーツランドSUGOで実施される予定の第4回CN開発テストでは、来季に向けたレイン仕様のタイヤテストを実施する予定だとしている。

 開発ドライバーの塚越は「前回鈴⿅の開発テストで評価したタイヤが富⼠スピードウェイではどうか、というところがメインにはなりましたが、暑い鈴⿅で良かったタイヤが富⼠では少し違う評価になりました」とテストを振り返った。

「ですが、横浜ゴムさんとしては想定内のコメントだったということですので、季節やコースの違う状況に合わせたタイヤをどう作るか、多くのテストを通じてケーシングやコンパウンドを試しましたので、もろもろ取得したデータを検証していただき、良い組み合わせのタイヤを作ってもらうことを期待しています」

 また高星は「ドライ仕様のタイヤに関して多くの再確認ができたので、良いテストになりました。あとは、ドライバーが『こうあって欲しい』と思うフィーリングと、JRPや横浜ゴムさんがやりたいと思う⽅向性に若⼲の差があるように思いますので、そこをどうバランスさせるかが重要だと思います。ある程度歩み寄ってベストの回答が出れば良いと思っています」とコメントしている。

 なお、今回のCN開発テスト初日には、すでにお伝えしているとおりJRPの近藤真彦会長もドライバーとして参加。10⽉12日のデモランに向けてテスト走行を行った。乗⾞前にはシートポジションやステアリング、パドルシフト操作などを⼊念にチェックしたという近藤会長は、Red Tiger SF23“⾚寅”に乗り込むと、ミスなく約5周を走行し、途中にはピットロードでスタート練習も実施。いずれもミスなく走行を終了しているということだ。

「ドキドキ・ワクワク、こんなにも無茶苦茶に⾃分を盛り上げてくれるマシンなんだなと」と語るのは、テスト走行を終えた近藤会長。

「現役時代のマシンに⽐べると当時のF1マシンのレベルですよね。凄いパワーを感じましたし、モリゾウさん(豊⽥章男トヨタ⾃動⾞会⻑)に刺激されて先⽇レースにも出て、レース魂といいますか、経営的な観点からではなく、本当のレースの楽しさを味わえましたが、今⽇はそれ以上に味わえた感じがあります」

「ホームストレートでアクセルを全開にしたときには、違う⾃分、勝負をしていたときの⾃分がアクセルを全開にさせている感じでした。このワクワク感、ドキドキ感をレースファンの⽅々、まだファンでない⽅々にもお伝えしたいと改めて思いました」