中沢啓治「はだしのゲン」をテーマにした番組、「『はだしのゲン』の熱伝導 ~原爆漫画を伝える人々~」が明日9月28日21時よりBS12トゥエルビで放送される。
【大きな画像をもっと見る】戦争のリアルを伝える作品として多くの人に支持されている「はだしのゲン」。しかしその一方で、当時との道徳的価値観の違い、表現の過激さなどを理由に、学校で閲覧制限を行ったり、教材から削除したりといった動きもある。番組では、そうした“逆風”の中でも、世界中に「はだしのゲン」の熱を伝えている人々にフォーカス。「はだしのゲン」を通して戦争と核、平和への思いを伝える。ナレーションを務める内田也哉子からは、収録を終えてのコメントが寄せられた。
■ 内田也哉子コメント
(ナレーションを終えて)お腹の底にずーんと重たい鉛みたいなものが存在している感覚があります。『はだしのゲン』は、戦争の悲惨さや平和の尊さを伝えながらも、時代は違えど私たちと同じように普通の暮らしをしている少年や家族の物語のため、とても共感しやすいです。人が人を思う“おもい”や、戦争はあってはならないという厳しい現実を、漫画だからこその伝わりやすさで、読んだ誰しもが何かを重ねて感じられる部分がある作品だと思います。
母の樹木希林が生前に交流のあった作家で美術評論家の窪島誠一郎さんから声をかけていただき、今年の6月から戦没画学生慰霊美術館『無言館』の共同館主を務めさせていただくことになりました。20~30代は自分の家庭を耕すことに集中していましたが、母が他界するときに「そろそろ自分のまわりの人たち、もっと大きくいえば、社会みたいなものに自分がどう使ってもらえるかを考えた方がいい」と言われました。自分はこれまで戦争についてしっかり向き合うことがありませんでしたが、母が戦後70年の時に、何かできることはないかと自問自答していたように、私も母のバトンを受け取って、私を使って何かを伝えていきたいと思いました。今回ナレーションのお話しをいただいたのも共同館主就任直後だったため、こうやってご縁は広がっていくんだなと感じます。
番組の中で、戦争について伝えていらっしゃる方々の活動は、日本にとって宝のようなものだと思います。番組を見てくださった方が、講談を聞きにいきたいな、『はだしのゲン』を読んでみたい、原爆の資料館に行ってみようと、いろんな思いを受け取ることができると思います。どんな切り口でもいいので、番組から小さな種を受け取って、ご自身のタイミングでその種をどこかに植えていただきたいです。