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よくある「社内恋愛禁止」会社の理不尽なルール、弁護士は「意味ないです」と一刀両断

2024年09月27日 09:50  弁護士ドットコム

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社内恋愛禁止の規則に違反した場合、懲戒処分の対象になるのでしょうか──。こんな相談が弁護士ドットコムに寄せられました。


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相談者が勤務する会社では、社内規則で同じ会社の従業員と恋愛することを禁止されているそうです。社内恋愛した場合(特にその後破局した場合)に業務に支障が出るのを防ぐためだそうです。



相談者は規則を破った場合に懲戒処分を受けるのかが気になっているようですが、社内恋愛を禁止することは法的に問題ないのでしょうか。下大澤優弁護士に聞きました。



●社内恋愛禁止ルールは「法的効力をもつとは考え難い」

──会社のルールで社内恋愛を禁止することは、法的に問題ないでしょうか。



社内規則(就業規則)に「職場内での恋愛を禁じる」といったルールを定めようとした場合、労働基準監督署からストップがかかることはありません。



しかしこれは、「社内恋愛禁止のルールが法的効力をもつ」ことを意味するものではありません。就業規則にルールを定めても、その法的効力が否定される例はたくさんあります。



そもそも、人が恋愛をすることは自由(もちろん不貞は良くないです)であり、他者がこれを制限することに合理性はありません。単に社内恋愛を禁じるというルールを設けても、法的効力をもつとは考え難いです。



●懲戒処分を受ける可能性はある?

──恋愛禁止の社内規則に違反した場合、懲戒処分を受けることはあるのでしょうか。



これは、社内恋愛禁止のルールを設けたとして、そのルールに基づき懲戒処分を課すことが適法かという問題です。



社内のルール違反に対する懲戒処分は無制限にできるものではなく、合理性と相当性が必要です(労働契約法15条)。



これを社内恋愛禁止というルールについて考えますと、同僚同士が恋愛関係をもったからといって、ただちに会社に不利益(会社の社会的信用を害したり、社内の風紀を害するなど)が生じることはないはずです。



会社に不利益が生じないのに、「ルールである」という理由だけで懲戒処分を課すことには合理性も相当性もありません。このような懲戒処分は無効というべきでしょう。



ただ例外として、既婚者である社員が同僚と不貞関係をもち、その結果として会社の利益が害された場合は、懲戒処分が正当化されることもあり得ます。



不貞といえども基本的にはプライベートな問題なので、「不貞をしたこと」だけをもって懲戒処分を課すことは正当化しにくいのですが、不貞トラブルが激化し、会社を巻き込んだトラブルに発展したような場合は懲戒処分が正当化されることもあるでしょう。



●社内恋愛を理由に査定で低評価したら?

──社内恋愛したことについて、上司などが査定等で低評価とすることは問題ないのでしょうか。



上司が部下の人事評価をする場合、広い裁量が認められます。この場合、就業規則等のルールは不可欠ではありません。



仮に社内恋愛禁止のルールがなくとも、人事評価の裁量の範囲内であれば、社内恋愛をした部下に低評価とすることも許されるということになります。



ただ、いかに広い裁量があるといえども、合理的な根拠がまったくないまま低評価とすることは問題です。先に述べたとおり、社内恋愛をすること自体は自由だと考えるべきでしょう。



「社内恋愛をしたから」という根拠だけではなく、「社内恋愛によって、現に業務に支障が生じた」という根拠がないと、正当な人事評価とは言い難いと思われます。




【取材協力弁護士】
下大澤 優(しもおおさわ・ゆう)弁護士
2012年司法試験合格、2014年に弁護士登録。勤務弁護士を経て2016年に定禅寺通り法律事務所(仙台市)を開設。離婚・男女関係のトラブル(婚約破棄等)に注力している。
WEBサイト:https://sendai-rikon.com/
事務所名:定禅寺通り法律事務所
事務所URL:https://sendai-rikon.com/