Text by CINRA編集部
『ルイーズ・ブルジョワ展:地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ』が本日9月25日に六本木・森美術館で開幕。2025年1月19日まで開催されている。
1911年にパリで生まれ、2010年にニューヨークで逝去したルイーズ・ブルジョワ。70年にわたるキャリアのなかで、インスタレーション、彫刻、ドローイング、絵画など、さまざまなメディアを用いながら男性と女性、受動と能動、具象と抽象、意識と無意識といった二項対立に潜む緊張関係を探求し、対極にあるこれらの概念を作品のなかに共存させてきた。森ビル所蔵のパブリックアート『ママン』をはじめ蜘蛛をモチーフとした作品で知られる。
日本では27年ぶりの個展となる同展では、彫刻、絵画、ドローイング、インスタレーションなど100点を超える作品群を3章構成で展示。第1章「私を見捨てないで」では母との関係、第2章「地獄から帰ってきたところ」では父との確執、第3章「青空の修復」では壊れた人間関係の修復と心の解放が主なテーマとなっており、各章をつなぐ2つのコラム「堕ちた女—初期の絵画と彫刻」「無意識の風景—1960年代の彫刻」では初期の重要作品を年代順に紹介している。出品作品の約8割が1998年以降に制作された日本初公開の作品になるという。
会場では文筆家でもあったブルジョワが書き綴った言葉や、ジェニー・ホルツァーによるブルジョワの言葉を用いた作品、ブルジョワが1978年の自作『対決』内で企画したパフォーマンス『宴/ボディ・パーツのファッションショー』にスーザン・クーパーが出演している記録映像なども紹介される。
さらにブルジョワの人生とキャリアを紹介する約10メートルの年表や、精神分析の記録、展覧会のチラシ、作家の自伝的映像、ブルジョワが愛用していたゲランのフレグランス「シャリマー」の香水瓶を展示。その場で香りを体験することができるとのこと。
副題「地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ」はハンカチに刺繍で言葉を綴った晩年の作品からの引用。音声ガイドのナビゲーターは二階堂ふみが担当する。