トップへ

バストリオの新作『Holy cow/わたしたちは一度しかない』が11月に京都芸術センターで上演

2024年09月20日 11:10  CINRA.NET

CINRA.NET

写真
Text by CINRA編集部

バストリオの新作『Holy cow/わたしたちは一度しかない』が11月2日から4日にかけて京都芸術センター フリースペースで上演される。

『第14回せんがわ劇場演劇コンクール』でグランプリ、オーディエンス賞、演出家賞、俳優賞(出演者全員)を受賞したバストリオ。

京都芸術センターの空間を活用した作品発表や、創造環境整備のための活動を行なう「KACパートナーシップ・プログラム」に選出された同作は、沖縄の高江・辺野古という地域との出会いを通して創作した『わたしたちのことを知っているものはいない』の続編。京都という土地にフォーカスし、さまざまな出会いをもとに創作した今回は、ある土地で今を生きている人間たちと、そこに流れ続けている歴史・文化・時間に光を当て、1人の人間が辿ってきた「運動」をまったく関係ないと思われるものとともに街へと反射させるライブパフォーマンス作品だという。

演出は今野裕一郎。出演者には黒木麻衣、坂藤加菜、佐藤駿、スカンク/SKANK、中條玲、橋本和加子、本藤美咲が名を連ねる。チケットはPeatixで販売中。

関連イベントとして、10月12日に劇作家・演出家の太田省吾と生前会ったりすれ違ったりした人たちが彼にまつわる記憶からその姿を追うトークイベント『太田省吾と京都の街ですれ違う』、10月13日に参加者と京都の街を散策し、路地に眠る言葉を掘り起こすようにシーンを立ち上げるワークショップ『あなたが歩いてるんが見える?』を開催。ともに会場は京都芸術センター ミーティングルーム2となる。

【作品について】
目の前に土地があった。誰のものでもない土地だった。牛がそこにいた、牛はどこにでもいた、牛は眠っていた、牛はわたしたちのことを救うと言った、牛は死んだ、牛は驚いた、牛は神様だった。神様は七人いた。神様は一人だった。人間は自分が生まれた土地で自分が信じるものを見つけて生きた。信じるものは曖昧だし透明だ。牛は後ろを向いた。土地から去っていった。このことを誰かに伝えなければいけないと人間は口にした。忘れてしまわないように覚えておくためにすべて同時に現れた。人間はこの生をたった一度しか生きることが出来ない。地獄のような出来事がどこかで起こる。破壊と再生。人間はしぶとい。そしてあっけない。私たちの目の前には風景があった。また牛がいた。神様がいた。見たことがない私たちがいた。神様はまたいなくなって遠くから音楽が聴こえてきた。私たちの音楽は神様にも牛にも聴こえていた。奇跡は一度だけしか起きない。私たちはたった一度だけの出来事のことを考えることにした。眠る前に。