トップへ

WECで2台目のポルシェ投入を目指すプロトン。一方GTWCは活動休止、IMSAも縮小の可能性

2024年09月19日 20:50  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

99号車ポルシェ963(プロトン・コンペティション) 2024年WEC第7戦富士
 プロトン・コンペティションは、来季2025年のWEC世界耐久選手権に向けて2台目のポルシェ963を投入する道を固めつつある。同チームの代表を務めるクリスチャン・リードは、ハイパーカーの取り組みを拡大させる可能性が50パーセント以上あると述べた。

 現在、WECとIMSAのウェザーテック・スポーツカー選手権で1台ずつカスタマー963を走らせているドイツのチームは、今年両シリーズのフルシーズンに参戦した後、トップクラスのプロトタイプの焦点の大半を世界選手権に移す可能性がある。

 リードは、予算とスケジュール次第でウェザーテック選手権のプログラムを、北米シリーズ内の耐久レース5戦からなる“ミシュラン・エンデュランス・カップ”のみに縮小する可能性があることを明らかにした。

「もちろん、ELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズのカレンダーを確認して、どれだけの重複があるのかを見なければならない」とリードはSportscar365に語った。「ミシュラン・エンデュランス・カップは確実に。そして願わくばフルシーズンをやりたい」

 WECで2台目の顧客用963を走らせる可能性について尋ねられると、同氏は「それに取り組んでいる」と答えた。

「問題はなさそうだし、その道筋はだんだんとはっきりしてきた。現時点では60:40か65:35で(実現させることが)できると思う」

「最終的には競争力のあるラインアップにしたいと考えているが、それには予算が問題になるのは間違いない。ランニングコストが非常に高額だからね」

 ポルシェ・モータースポーツのトップであるトーマス・ローデンバッハは以前、他のチームとの交渉は進んでいないと述べ、来年のWECでプロトンが唯一のLMDhカスタマーチームになる可能性が高いと認めていた。

 今季のWECではプロトンのほかにハーツ・チーム・JOTAがポルシェのカスタマーとしてグリッドにおり、この英国チームは2台の963を運営しているが、来季はキャデラックのLMDhカーを走らせることが決まっている。

 プロトンが2台目のプロトタイプカーを投入するとすれば、理論的にはハイパーカーのグリッドにひとつのスペースが残り、他のプライベーターやサテライトのハイパーカーを投入できることになる。これは予想される2台体制のファクトリーチーム9チームと3台目のフェラーリ499Pを考慮に入れたもので、これにプロトンのポルシェ2台を加えるとWECの最高峰は21台のカテゴリーとなる。

 ただし、これはイソッタ・フラスキーニまたはヴァンウォールが復帰しない場合に限って可能となる。両チームは来季のレギュレーションに従い他の自動車メーカーと同じように2台のマシンを出す必要がある。グリッド上のハイパーカーエントリーの最大数は22だ。

■マスタングGT3プログラムを一部中止へ

 プロトン・コンペティションは来シーズンのWEC LMGT3クラスで引き続き2台のフォード・マスタングGT3を走らせる予定だが、リードは2025年のファナテック・GTワールドチャレンジ・ヨーロッパには参加しないことを明らかにした。

 このチームは、シーズン開始直前にダイナミック・モータースポーツがデトロイトのメーカーと決裂したことを受け、これに代わってプロクラスにシングルエントリーすることとなった。

「今年はGTワールドチャレンジのプログラムを手に入れたが、それが土壇場で決まったことが明らかに我々の助けにならなかった」とリードは語った。「4つの選手権でプログラムを運営するのは困難を極める」

「(今週末は)インディアナポリス、モンツァ、スポーツカップでレースをするが、同じ週末に3つのイベントを走るのは非常に大変だ」

 一方でリードは、現在ウェザーテック選手権で行っているGTDクラスのプログラムを継続することをフォードと「話し合っている」と語った。

「IMSAと話をし、確かに我々は(GTDカー)と963をトラックに持って行きたいと伝えた」と同氏。「どんな顧客がいるのか、そしてどんなクルマが走るのかを見なければならない」

■リードが三度代打の可能性

 プロトンのチームボスである彼は、11月のWEC最終戦バーレーン8時間レースに向けて、ふたたび88号車フォード・マスタングGT3のステアリングを握る可能性があることを認めた。以前このクルマのブロンズドライバーに指名されていたジョルジオ・ローダはル・マン24時間を最後にシーズン後半ラウンドを欠場し続けている。

 先月のサンパウロ6時間レースでは土壇場でローダの代役を務め、先週末の富士スピードウェイでは第6戦オースティンでベン・キーティングがシートを埋めた後、ふたたびローダの穴を埋めたリード。

 彼は、「いくつかのことが重なった。主に時間と家族のビジネスの問題だった」とローダがLMGT3プログラムから降りることなった理由を説明した。「彼はもっとビジネスに関与する必要があった。今、彼は(ELMSの)LMP2に集中したいと考えている」

 マスタングGT3のドライバーとしてふたつのレースを戦ったリードは、「このクルマを運転する機会を得られたことは幸運だった」と語った。「それほど悪くはなかったよ」

「今はずっと良くなっている。サンパウロで初めてフロントエンジン車をドライブした。明らかに運転の仕方が違ったね。クルマを速く走らせるためどうしなければならないかを理解する必要があった」

「それについてもどんどん良くなっている。また、このような機会を得られて嬉しく思っている。だが、私はもう引退しているんだ」

「バーレーンのドライバーがいれば任せたいと思う。実際に何人かと話をしている。ドライバーが見つかればうれしいね。もし見つからなかったら、あと1回だけ乗ることになるだろう。でも、それで終わりだ」