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「約12万円のPS5 ProよりゲーミングPCを買った方がいい」は本当なのか? 同等スペックで組んだら価格は……

2024年09月19日 15:31  ITmedia PC USER

ITmedia PC USER

上位モデルとして登場した「PlayStation 5 Pro」

 11月7日に「PlayStation 5」の上位モデル「PlayStation 5 Pro」(以下、PS5 Pro)が発売される。家庭用の据え置きゲーム機として異例ともいえる税込み11万9980円という本体価格から、SNSでは「ゲーミングPCを買った方がいいのではないか」という声もある。確かに10万超という金額だけを見れば、ゲーミングPCの購入も検討できそうだが、果たしてPS5 Proと同等のパフォーマンスを持つゲーミングPCを近しい金額で用意できるのだろうか。


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 詳しい仕様などは公開されていないが、9月11日に発表/公開された映像「PlayStation 5 Proテクニカルプレゼンテーション」から読み取れるPS5 Proのスペック情報で検討してみよう。


●GPU関連のアップグレードだけでなく、内蔵SSDのアップグレードなど「Pro」モデルにふさわしいスペックに


 今回、ビッグスリー(3つの大きな変更点)と題して、GPUまわりのアップグレードが主に触れられているが、GPU以外にもSSDからのデータ読出しパフォーマンスの向上も同時に実現しているという。


 さらに、2TBのSSDが標準搭載されるようになり、PS5と比べて約2倍の容量が確保されている。SSDを換装しなくても、より多くのゲームをプレイできる、無線LANもWi-Fi 7に対応と大幅にスペック向上を果たし、「Pro」モデルにふさわしいスペックとなっている。


●GPUのアップグレード状況を確認してみる


 PS5と比較して、GPUのCU(Compute Units、演算処理のコア)は67%、メモリの速度は28%向上しており、レンダリング速度は最大45%向上しているという。


 PS5のGPUは、ADM Radeon RDNA2ベースのカスタマイズGPUを採用しており、36CU、最大周波数2.23GHz、10.3TFLOPSというスペックだ。カスタムGPUなので、市販のRadeon GPUと単純に比較できないが、近しいスペックの物を見ると「Radeon RX 6600 XT」相当の物が採用されていると予想できる。


 PS5 Proが搭載しているGPUのスペック詳細はまだ公開されていないので、あくまで推測ではあるが、CUがPS5と比べて+67%となると、約60CUとなるので「Radeon RX 6800」相当のモデルが搭載されていると予測できる。


 GPUの大幅なスペックアップにより、グラフィックモードを有効化していても、4K 60FPSできれいかつ快適なゲームプレイが期待できるだろう


●PS5 Pro相当のスペックのゲーミングPCの価格はどれくらいになる?


 前置きが少し長くなったが、本題のPS5 Pro相当のゲーミングPCを購入する場合、どれくらいの費用になるのか見てみよう。


 PS5 Proは今出て居る情報を見る限りではAPU自体のスペックアップは見て取れないため、PS5と同じRyzen Zen 2アーキテクチャを採用した8コア/16スレッド、最大周波数3.5GHzのカスタムAPUが採用されていると仮定しよう。


 Zen2アーキテクチャを採用したAPUで一番近しいスペックの製品を見てみると、「Ryzen 7 4700GE」あたりになるだろうか。


 現在も新品購入できるモデルに置き換えると、詳細なベンチマークスコアが手元に無いため、大まかな比較となってしまうが、「Ryzen 5 5600X」が対抗馬となりそうだ。


 ここまで得られた仮説から、下記スペックのゲーミングPCをPS5 Proと同等モデルと仮定してみよう。


 CPUやGPUは最新世代のパーツでないにもかかわらず、実売価格合計で約20万円の費用が発生することが分かる。メモリについては、PS5 Proと同じく16GBで選定はしているが、そもそもWindowsでゲーミングPCを用意するのであれば、32GBは搭載しておきたいのでさらに費用が高くなる見込みだ。


 またPS5 Proのようなゲーム専用機と比べると、汎用(はんよう)機であるゲーミングPCは最適化の効果がなかなか得られず、PS5 Proのように4K/60FPSでゲームプレイをしようとすると、タイトルによってはさらに高いスペックが要求されることもある。


●目的が何かによってベストチョイスは変わる。自身のスタイルにあった物を選ぼう


 こうしてみると、PS5 Proの11万9980円は、得られるゲーム体験の高さや手軽さを考えると決して高い物だとはいえない。


 ただし、PCにはゲーム以外の用途としても利用できる汎用性の高さという利点があるため、普段からPCに慣れ親しんでいる方からすると「ゲーム専用機として11万9980円は高い」という意見が出ることもよく分かる。


 目的が何かによってベストチョイスは人それぞれ変わるので、SNSなどの意見に流されずに、「自身にとって最高のゲーム体験を得られるのはどちらなのか」と考え、最高のゲーム体験を得られるようにしたいところだ。