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10万円台でPCゲームを快適に楽しめる 自作PCの魅力とその第一歩

2024年09月19日 13:51  ITmedia PC USER

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 自作PCに興味はあるが、PCパーツの選び方から組み合わせまでを自分でイチから考えるのは大変だ。かといって失敗はしたくないし、できれば先人の知恵によるベストチョイスを参考にしたい──そんな人に向けて、今回は自作PC系YouTubeチャンネル「At.Holyネズミ」のHolyネズミさん視点による、“自作PC入門”動画を記事で紹介しよう。


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●ランキング上位のパーツだけを集めたら、最強の自作PCができる?


 ランキング上位に挙がるPCパーツにはそれなりの理由がある。どのように選べばいいのか? 定番製品は? 解説を交えながら、およそ10万円代でできる自作PCの組み立て方をチェックしていこう。


PCケース


 自作PCの見栄えを大きく左右するPCケースについては、主に3種類のフォームファクタ(規格)が候補に挙げられる。


・小型化のため高価になりがちな「Mini ITX」


・機能性は普通で値段も安い「Micro ATX」


・多機能で値段もピンキリの「ATX」


 この中で、コスパを重視するなら真ん中の「Micro ATX」を選ぶのが王道的選択になる。近年はPCケースの中で大きなスペースを占有していた内蔵ストレージの省スペース化(HDD→SSD)が進んだこともあり、大きなPCケースを用意する必要性が薄れてきた。デスクの占有スペースも減ることから、Micro ATXの需要が上がっている。


 そうした状況の中で、安定して高い評価を受けているのがThermaltakeの「S100 TG」だ。5000円を切る低価格でありながら、(低価格PCケースで省かれがちな)グラフィックスカードの配線穴までしっかり装備している。さらに各部の設計に無理がない余裕のある作りで、他社のPCケースに比べてPCパーツの互換性問題が起きにくいのもメリットだろう。


 PCケースを購入したら、まずはふたというふたを片っ端から取り外して、PCパーツを組み込む準備をする。中には取り付け用ネジやケーブル固定用のバンドなど付属品が入っていることもあるので、忘れないように取り出していく。


 フロントパネルはツメでしっかり固定されている場合もあるので、ツメ折れが心配であれば、無理に取り外さずにフロントケースファンを取り付けないという選択もアリだ。


マザーボード


 マザーボードはPCの機能性を決めるパーツで、PCケースのサイズ(規格)にあわせてマザーボードにもサイズ(規格)がある。基本的にはPCケースとセットで製品を選ぶ。


 各メーカーからさまざまなマザーボードが発売されているが、機能性の違いとして分かりやすいのは、主にPCの背面にあるUSBポートなどの種類、数、Wi-Fiの有無などが異なってくる。値段が上がれば上がるほど、ポートの数や機能が増えていくイメージだ。


 マザーボードはサイズの他に、取り付けられるCPUの型番なども決められている。大きく分けるとIntelとAMDの2つに別れており、さらにCPUの世代でも変わってくる。最初はとにかく分かりづらいが、まずは「CPUやケースを変えるときはマザボも一緒に変えなくてはいけない場合がある」と覚えておけばよい。


 いずれにせよ、PCケースとマザーボードの各種インタフェース(USBポートなど)は後からハブなどを使って増やせるため、とにかくパフォーマンスを重視する人はマザーボードに予算を投じない場合が多い印象だ。


CPU


 ゲーミング用途のPCはグラフィックスカードが一番重要になる。よってCPUは高すぎず安すぎない絶妙なラインを見極めて選ぶのが、コスパを追い求める上で重要なポイントになる。


 Intelの第13/14世代Coreプロセッサは一定の条件下で突然クラッシュ(システムの停止)するという重大な不具合が発生しているため、現時点ではAMDのRyzenシリーズを選択するのが無難という状況だ。


 そして昨今のCPUの進化スピードは目を見張るものがあり、全体的にパフォーマンスが底上げされている。よって多くの構成でミドルレンジのRyzen 5を選べば十分だ。


 ちなみに2024年内には新世代のCPUが登場する見込みだが、円安事情などから現行モデルの価格もなかなか落ちないという状況でもある。今からRyzenの5000シリーズを選んでも全く問題無いだろう。


CPUクーラー


 以前からDEEPCOOLの「AK400」やSCYTHEの「虎徹 MARK3」が定番だと思っているが、今回は少し予算を足して、見た目のいいPCCOOLERの「RZ400 V2」を(動画内で)選んだ。AK400の高級バージョンという感じで、金属のフェイスプレートや装飾されたヒートシンクの見た目がイケている。


メモリ


 ソフトウェアを同時に起動するといった状況のパフォーマンスを左右するメモリに関しては、規格と容量のみを意識するだけでよい。使用するマザボがDDR4かDDR5のどちらに対応しているかを確認すること。


 容量については「ゲームのプレイ中に別のソフトウェアを起動したい」なら32GBをおすすめしたいが、一方でショップ系のゲーミングPCは16GBが標準の場合も少なくない。差額は小さいので、自分の財布と相談するといいだろう。


 メモリの速度についても「3600MHz」「3200MHz」などと種類があるが、これによってゲームプレイ時のフレームレートが大きく左右されるわけではないのであまり気にしなくてよい。


 注意したいのは、マザーボードにメモリの差し込みが甘いとさまざまな不具合が発生するというところだ。取り付けの際はしっかり確認したいところだ。


SSD


 ストレージについて考えるべきは容量のみで、500GB以上あれば安心だ。1TBは個人だと使い切れる人は少ない。読み書きの速度については規格が定められているが、旧規格の読み書きスピードが新規格を上回るなんてこともあるので一概にはいえない。


 ストレージの機種ごとに計測した結果は次の通りだ。


 マザーボードに取り付けるには付属のネジを使うが、ドライバーの磁力ではなかなか付着しなかったり、小さすぎてなくしやすいので注意が必要だ。


グラフィックスカード(GPU)


 ゲーミングPCにおいて一番重要ともいえるグラフィックスカード(GPU)は、最新のAMD RX7600で、ベンチマークテストで同程度の結果が出るNVIDIAのGeForce RTX 4060よりも数千円安く購入できる。ただし、各ECサイトでセールが行われる場合もあるので、価格差が少なければ好みだ。


電源


 取り付けるパーツによって電源容量は異なるが、目安は10万円前後の構成なら500W、15万円以上なら600W、20万円以上なら750Wだ。さまざまなブランドがあるが、無駄に高価な製品を買う必要はなく、PCケースと同じブランドなどから選ぶでOKだ。ケースをファッションのアウターとするなら、電源は靴下みたいなものだ。


ケースファン


 1つ3000円超えも普通のケースファンだが、4つで3500円という破格の「GAMDIAS M3」がおすすめだ。安っぽさを感じさせないビルドクオリティーと適度なLEDの光量が魅力的だ。ケースファンについてはPCケースに付属している場合も多いが、ゲーミングPCを組み立てるなら、雰囲気的にもライティング付きをおすすめしたい。


●自作PCは難しくない


 PCパーツをそろえたら組み立てに入るが、自作PCにおいて難しいのは極論で言えば内部の配線のみだ。細かな作業が苦手でなければマザーボードにPCパーツを取り付けるのは簡単で、静電気などにも過剰に気を遣いすぎる必要はない。基本的には奥から手前へ、上から下へと取り付けを行っていく。


 何より自作PCのメリットは、(しっかりとPCパーツを選定すれば)同性能の市販PCよりも数万円レベルで安く済ませられるところだ。また、動作要件が厳しいPCゲームがリリースされたときに、自分でグラフィックスカードを交換してアップグレードできるという強みもある。


 今回紹介した構成なら、人気PCゲームならフルHDで快適に遊べるといっても過言ではなく、高フレームレートを必要とするFPSゲームは144fps超、フレームレートの最大値が設定されているゲームにおいても上限一杯まで出ているので、リフレッシュレートが200HzのPCディスプレイを使いたいといった場合でない限り十分な性能といえる。