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ケイファーマ「近い将来にはALS治療薬候補の海外導出も」=福島弘明社長に聞く(1)

2024年09月19日 10:21  サーチナ

サーチナ

 ケイファーマ <4896> はALS(筋委縮性側索硬化症)、脊髄(せきずい)損傷、脳梗塞(こうそく)など、有効な治療法が確立していない中枢神経疾患を重点領域とした、慶応義塾大学発のバイオベンチャー。現在はiPS創薬事業で6本、再生医療事業で5本のパイプライン(新薬候補)を持ち、ALS治療薬候補の「KP2011」は2023年に日本国内の権利をアルフレッサファーマに導出した。iPS創薬、再生医療について画期的な研究・開発を進める同社の現状と今後について、福島弘明代表取締役社長に聞いた。

 ――2024年12月期上期の連結業績は、売上高なしで、営業損益は4億2300万円の赤字でした。

 「全般的に計画通りに進ちょくしています。研究開発費2億3600万円を計上したことから、損益面も想定内でした。iPS創薬事業では、ALSに関する開発パイプラインについて、引き続きアルフレッサファーマと第3相試験に向けて準備を進めています。ALS以外では、2月に『ハンチントン病治療剤及び治療用組成物』の特許出願を行いました。再生医療事業では、亜急性期脊髄損傷治療に関する関連特許について、3月に学校法人慶応義塾大学と特許実施許諾契約を締結しています」

 ――iPS創薬事業の現状を教えてください。

 「ALS治療薬候補の『KP2011』はフェーズ1/2aの医師主導の治験を完了し、日本国内開発の権利をアルフレッサファーマに導出しました。その契約一時金を計上したことで、23年12月期は非連結営業損益3億6600万円の黒字(前々期は3億5300万円の赤字)と、黒字化を達成しました。ただ、現段階で『KP2011』の導出は日本におけるものだけです。日本、カナダ、欧州(20カ国)、インドでは既にALS用途特許を登録済みで、米国、中国では同特許を審査中です。

 今後はグローバルな事業展開を目指し、各国での提携先を選定し、承認取得に向けた治験を進めていきます。また国内では、希少疾病用医薬品指定申請(オーファンドラッグ指定)に向けた手続きのほか、アルフレッサファーマと第3相治験の準備を進めています。さらには、ALSにおけるロピニロール塩酸塩の新規メカニズム解明に関する論文を投稿する準備をしているところです」(2)へつづく