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ケイファーマ「近い将来にはALS治療薬候補の海外導出も」=福島弘明社長に聞く(2)

2024年09月19日 10:21  サーチナ

サーチナ

ケイファーマ <4896>

(1)からつづく

 ――そのほかのiPS創薬はいかがですか。

 「FTD(前頭側頭認知症)治療を目指す『KP2021』、HD(ハンチントン病)治療を目指す『KP2032』は千数百もの化合物のスクリーニングを完了し、それぞれ有望な候補化合物を選定しました。10月に米国シカゴで開催される国際学会(SfN:Society for Neuroscience)で、FTDおよびHDの各候補化合物のスクリーニング結果を世界で初めて発表します。ALSに続きiPS創薬の着実な事業展開を示すものです。現在、フェーズ1/2臨床試験の準備と、提携候補先との交渉を開始しています。そのほか、難聴治療を目指す『KP2061』は北里大学との共同研究を開始しました。既に候補化合物は選定しており、臨床試験に向けた最終評価を行っているところで、その結果次第で国内フェーズ1/2治験に入る予定です。

 また、FD(フェリチン症)治療を目指す『KP2041』、NHD(那須ハコラ病)治療を目指す『KP2051』は候補化合物スクリーニングのための評価系の構築を進めています。これらに加えて、複数の中枢神経系疾患について、新規開発パイプラインの立ち上げも検討しています」

 ――再生医療事業はどんな状況でしょうか。

 「『KP8001』は慶応義塾大学医学部との共同研究において、亜急性期脊髄損傷の治験を目指しています。これに先駆け、慶応義塾大学での医師主導臨床研究を進めており、現段階では最大4例を実施する予定の患者の募集が完了したところです。当社による企業治験開始に向け、CRO(医薬品開発業務受託機関)や、商業用の細胞作製のためのCDMO(医薬品開発製造受託機関)の候補選定も行っています。さらに、慢性期脊髄損傷、慢性期脳梗塞、慢性期脳出血、慢性期外傷性脳損傷の治療を目指しており、このうち慢性期脳梗塞、慢性期脳出血、慢性期外傷性脳損傷については大阪医療センターと共同研究を進めており、治験に向けた開発検討は順調に進んでいます」

 ――今後のビジョンをお話しください。

 「近い将来には『KP2011』の海外導出から、契約一時金を計上できるでしょう。それに続いて『KP2021』『KP2032』『KP2061』の導出に取り組むほか、その後はほかのパイプラインの導出も目指し、今後は継続的に売上を計上する可能性があります。研究開発に当たっては『疾患特異的iPS細胞×既存薬』で費用・期間の大幅削減と開発効率の向上を図っており、新薬開発に必要な期間を3-12年、費用を50-60%削減することを目指しています。開発が順調に進めば、『KP2011』は20年代後半、『KP8011』は30年代前半の発売もあるでしょう。発売後にはロイヤルティー収入を計上できることになります」