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完全ワイヤレスイヤフォンはここまで来た! フラッグシップモデル「JBL TOUR PRO 3」を試す

2024年09月19日 07:41  ITmedia PC USER

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JBLのフラッグシップシリーズ新モデル「JBL TOUR PRO 3」。カラーはブラックとラテの2色が用意される

 ハーマンインターナショナルは9月19日、完全ワイヤレスイヤフォンのフラッグシップモデル「JBL TOUR PRO 3」の国内発売を発表した。カラーはブラックとラテの2色展開で、同社の直販価格は4万2900円、発売は10月3日の予定だ。


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 2023年に発売された「JBL TOUR PRO 2」の後継モデルにあたり、フラッグシップ「TOUR」シリーズの3代目となる。また、充電ケースにタッチディスプレイを搭載するスマート充電ケース採用モデルとしても、JBL TOUR PRO 2、「JBL LIVE BEAM 3」に続く3モデル目となっている。


●JBL初のデュアルドライバー搭載 イヤーチップも多彩


 JBL TOUR PRO 3は、フラッグシップの3代目ということもあり、さまざまな改良が加えられている。その1つが、JBLブランドでは初となるデュアルドライバーの搭載だ。JBL TOUR PRO 2は、10mmダイナミックドライバー1基のみだったが、JBL TOUR PRO 3では中低音を担う10mmダイナミックドライバーに加え、高域を担うBA(バランスドアーマチュア)ドライバーのデュアルドライバーとなっている。


 イヤフォンの形状としては、パッと見では大きく変わってはいない。ステムが短めで、コンパクトな形状だ。


 付属のイヤーピースはシリコン製のXS/S/M/L/XLの5種類の他、Mサイズのフォームイヤーチップが1つ付属している。フォームイヤーチップの付属もJBLでは初とのことで、これだけバリエーションがあると、自分の耳にあったサイズが見つかりそうだ。専用アプリで最適なフィット感(密閉されているかどうか)を確認できるようになっている。


●進化したアクティブノイズキャンセリング


 アクティブノイズキャンセリング(ANC)は、「ハイブリッドノイズキャンセリング2.0」に進化した。リアルタイム補正時のフィルター計算を強化し、リアルタイム適応に対応している。あらゆる形状の外耳道と装着状態に適応することで、例えば、その場で友人にイヤフォンを貸したとしても、最適なANC効果を発揮できる。


 そのANCのパフォーマンスも、さらに向上しているとのことだ。とはいえ、JBL TOUR PRO 2もANCの効果はかなり強力だったので、どれほど強力になったかは感覚的には分かりづらいのだが、モーター音のような低音のノイズはすぐ近くであってもほぼ聞こえなくなる。人の話し声は完璧には遮断できないが、それでも注意深く耳を傾けなければ気にならない程度に抑えられる。


 駅でのアナウンスなどを聞く場合に便利な「外音取り込みモード(アンビエントアウェア)」はもちろんのこと、会話を始めると自動で再生中の音量を下げ、相手の声を聞きやすくする「トークスルーモード」も搭載している。トークスルーに関しては、会話を始めると自動的にトークスルーモードに移行する「スマートトーク」も利用可能だ。


 JBL TOUR PRO 2から引き続き、イヤフォンを通して自分の声を聞くことができる「ボイスアウェア」も搭載している。通話中の自分の声をマイクで拾い、イヤフォンから出力するという機能だ。


 イヤフォンをしている場合、自分の声が聞こえずに必要以上に大きな声を出してしまうということを防ぐのが目的だ。自分の声の大きさは、低/中/高の3段階に切り替えられる。JBL TOUR PRO 2で試した際は、あまり効果を感じなかったのだが、今回はしっかり効果を感じることができた。以前は単にうまく使えていなかった可能性もあるが、JBL TOUR PRO 3の性能が向上しているのかもしれない。


 また、マイク性能が大幅に向上した。外側に2つのビームフォーミングマイク、内側にノイズ低減用のフォードバックマイクを内蔵する。新搭載のAIノイズ低減アルゴリズムにより、前モデルと比較して平均約18dBのノイズ低減効果を実現したとのことだ。これも実際に録音した自分の声を聞いたが、3Dプリンタのすぐ隣や、交通量が多い屋外でも自分の声のみをクリアに聞くことができた。


●強化された空間サウンド


 JBL TOUR PRO 3では、空間サウンドも強化された。空間サウンド自体は前モデルでも対応していたが、今回新たにヘッドトラッキング機能が追加された。空間サウンドは、自分を取り囲むように音が聞こえてくる機能だが、ヘッドトラッキングにより頭を動かしても音が常に前方から発せられているように聞こえてくる。これにより、劇場やコンサート会場で聞いているような没入感を体験可能だ。


●スマート充電ケースもアップデート トランスミッター機能も


 イヤフォンだけでなく、スマート充電ケースもアップデートしている。まず、ディスプレイのサイズが前モデル(1.45型)から約29%大きい1.57型になった。待ち受け画面にバッテリー状態を表示できるようになり、再生中のアルバム名や楽曲名の表示に加え、日本語表示にも対応した。


 再生/停止やボリューム調整、ノイズキャンセリングのオン/オフ、イコライザーの設定などをスマート充電ケースで行えるのは従来通りだ。メールなども表示できるが、件名のみで本文までは分からない。JBL TOUR PRO 2では日本語表示できなかったが、JBL TOUR PRO 3では日本語に対応している。


 こうした操作はイヤフォンのタッチ操作でも行えるが、シングルタップやダブルタップ、左右イヤフォンでの操作の違いなど、覚えるのが面倒な上に誤動作も多い。イヤフォン利用中に、手元にあるはずの充電ケースで操作できるのは便利だろう。


 また、スマート充電ケースにオーディオトランスミッター機能が追加された。USB Type-Cケーブルの他、付属のUSB Type-C→AUXケーブルを利用して、ゲーム機やPC、TVなどに接続するとスマート充電ケースをトランスミッターとして、イヤフォンで聞くことができる。送信はAURACASTに対応しているので、AURACAST対応デバイスであれば、複数のイヤフォンやヘッドフォン、スピーカーなどで同時に音楽を楽しむことも可能だ。


●ハイレゾ(LDAC)対応の迫力あるサウンド


 肝心の音質だが、前モデルから引き続き非常に快適だ。JBL TOUR PRO 2では、やや高音の伸びに物足りなさもあったが、JBL TOUR PRO 3ではそうした感じもなくなり、全体的に低音が強めのメリハリのある音を楽しむことができた。


 また、新たにLDACをサポート(LC3は後日対応予定)し、ハイレゾイヤフォンとなった。利用するには端末側もLDAC対応が必要なので、残念ながらiPhoneでは利用できない。LDAC接続した場合の音質だが、AAC接続の場合よりも、解像感が一段上がる印象だ。特に中高音域がよりクリアに聞こえるようになる。


 ただ、LDAC使用時には「Personi-Fi」「空間サウンド」「低音量EQ」「音漏れの補正」が利用できなくなる。「Personi-Fi」はユーザーの聴覚特性を測定し、最適な補正を掛けてくれるという機能だ。


 例えば、高音域が聞こえにくいユーザーならその部分を強化するなどを行ってくれる。Personi-Fiを利用するかどうかで、音の聞こえ方がかなり変わってくる。人によってはLDACよりもPersoni-Fiで補正がかかった音の方が好みだという人もいるだろう。この辺りは実際に試してみるしかない。


●スマート充電ケースで使い方が広がるイヤフォン


 JBL TOUR PRO 2は、3万円を超える価格ながらハイレゾ非対応ということで若干見劣りする部分もあったのだが、JBL TOUR PRO 3はLDAC対応になりその欠点もなくなった。何より、スマート充電ケースも日本語対応になるなど、より便利にアップデートしている。


 特にトランスミッター機能は面白い。最近はAURACAST対応の製品が増えてきているが、実際にそれを活用する機会はまだ少ない。JBL TOUR PRO 3なら、トランスミッターでAURACASTを活用し、友人と気軽に音楽をシェアできる。用途はかなり広いはずだ。


 4万円超というのは少々手を出しにくい価格ではあるが、それに見合った性能であると言えるだろう。強化された音質や便利になったスマート充電ケースを、ぜひ手に取って確認してほしい。


(製品協力:ハーマンインターナショナル株式会社)