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セルティックで今季開幕から好調の旗手怜央が意識していること 監督から言われた課題が影響

2024年09月19日 07:20  webスポルティーバ

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旗手怜央の欧州フットボール日記 第28回  連載一覧>>

セルティックでの新シーズンで、旗手怜央は開幕から好調なプレーを続けている。今季自ら意識しているプレーや、またブレンダン・ロジャーズ監督から言われている課題について語った。

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【ビッグクラブとの対戦で感じた個の力の大切さ】

 スコットランドで迎える4シーズン目がスタートしている。開幕から迎えたのは、これで3回目になる。

 昨季は度重なるケガもあったので、このプレシーズンではさらに入念に準備をし、順調にコンディションを上げることができた。

 セルティックはアメリカツアーを実施し、マンチェスター・シティやチェルシーといった名のあるチームと対戦する機会にも恵まれた。

 この夏にコパ・アメリカ2024やユーロ2024が開催されて、各国の代表選手が不在な状況もあり、プレシーズンマッチでは多くの若手選手が出場していた。また、開幕前でそれぞれ身体が仕上がっていない状態ではあったが、それでも得たものは大きかった。

 マンチェスター・シティ戦では、カルバン・フィリップス(現イプスウィッチ)とマッチアップしたり、チェルシーにはリース・ジェームズ、クリストファー・エンクンクがいたり、途中からはラヒーム・スターリング(現アーセナル)もピッチに出てきた。そうした相手に対して、自分のプレーを見せられたのは、ひとつ手応えになったが、得点やアシストといった数字が残せなかったのは、開幕に向けた個人的な課題になった。

 マンチェスター・シティやチェルシーは、主軸を欠いてもなお、プレススピードが速く、そのなかで自分に何ができるのか、試される機会にもなった。彼らはチームしての戦術を持ちつつも、大事な場面や最後の局面では、一人ひとりの個の力で打開してきた。その局面でこちらが崩れてしまうと、チームとして崩れてしまうことも痛感した。

 すなわち、個の力が高まれば、よりチームの戦術が生きることを知った。戦術はチームとして戦ううえでは、ものすごく大事な要素のため、疎かにも、バラバラになってもいけない。戦術はチームとしての方向性を示すひとつの意志表示でもあるからだ。ただ、レベルが上がれば上がるほど、最終的に、個の力が問われることを彼らと対戦して実感した。

【結果を残し続けることで周りも変化する】

 迎えたリーグ開幕のキルマーノック戦では、17分に、今季のチームファーストゴールをマークした。

 数字を意識して臨んだシーズンで、開幕戦から結果を残せたことに安堵した。得点の場面では、左サイドからパスを受けた瞬間に前を向き、右足で相手GKのニアを突いた。

 ポイントにしたのは、パスを受ける前の予備動作。前を向くにしても、ターンをするにしても、相手が目の前にいたらプレーができないのではなく、自分が前に出るのか、後ろに下がるのか、それとも横に動くのかなどといった準備で、次のプレーの選択は変わる。

 だから、得点シーンに当てはめると、パスを受ける前にすべては決まっていたように思う。あとは、自分がシュートを打てる位置にボールをコントロールして、右足を振るだけだった。ボールを受ける前の動きは、どのレベルにおいても重要な動作になるため、それがスムーズにいったところに手応えはあった。

 開幕戦でキルマーノックに4-0で勝利したセルティックは、続く第2節でハイバーニアンに2-0、第3節でセント・ミレンに3-0、第4節でもレンジャーズに3-0で勝利。第5節のハーツ戦も2-0で勝ち、5連勝を飾った。

 第3節のセント・ミレン戦でも33分に(前田)大然のアシストからゴールを記録した。大然が左サイドを上がってきた時には、中に折り返すと予測できていたため、パワーではなく、コースを狙ってシュートした。ポストに当たったけど、自分が思い描いたとおりのシュートになった。大然のクロスに対して、2列目の自分がゴール前に顔を出す。その位置まで走り込めたこと、また、反応できたところは、自分を素直に評価したいと思う。

 プレシーズンからずっとプレーを続けてきて結果を残し続けていることで、今季はピッチにいるチームメートが、より自分を見てくれているように感じている。

 昨季は復帰しては負傷し、戦線離脱を繰り返していたため、チームに対して遠慮とまでは言わないが、それまでの流れを大事にしていたところがあった。自分が不在の間に、チームとしての形もできあがってきていたため、その流れを乱さずに、うまく調和することを優先していた。

 しかし、今季はシーズン開幕前から関われているため、自分が思うことは遠慮なく周りに伝え、積極的に要求もしている。

 戦術的な話になるため、詳細はオープンにできないが、センターバックに対しても、左足でボールを持つよう求めたり、ビルドアップで自ら持ち運ぶ時には、スピードを上げすぎないことも要求した。チームメートも自分の意見やアイデに耳を傾けてくれ、チャレンジしてくれるので、ボールが円滑に回るようになってきている。

 自分の出来によって、チームの出来は変わる。スコティッシュプレミアリーグにおいて、セルティックはボールを持てるし、いいサッカーができる自信もある。自分がそこでいいプレーをすれば、チームは自ずと勝ち続けられると思っている。

【ロジャーズ監督に言われたこと】

 ゴール、アシストという結果とともに、自分に課せられているのは継続性だ。

 2年目を迎えるブレンダン・ロジャーズ監督に言われた。

「力があることはわかっているし、上のレベルやリーグでもやれるだろう。ただ、そこに到達するために必要なのは継続性だ。昨季はケガを繰り返したように、まだまだプレーに波がある。それをなくしていく必要がある」

 攻撃においては、監督からの信頼を感じている。それほど多くは言われないが、守備に対する要求に応えようとしてきたことで、自分の成長も実感している。リバプールやレスターで指揮を執った経験のあるロジャーズ監督から送られた「継続性」という課題に、そして自らに課したゴールやアシストといった数字に、今季は挑んでいきたい。