2024年09月17日 15:01 ITmedia NEWS
回転ずしチェーン「くら寿司」を運営するくら寿司は9月12日、自社最長となる135mの回転ベルトを設置した店舗を「2025年大阪・関西万博」に出店すると発表した。店舗では、すしを始め、世界各国の料理を提供するという。一体どのような技術を用いて長大な回転ベルトを実装するのか。同社に話を聞いた。
万博に出店する店舗には、135mの回転ベルトに合わせ、自社最多となる338の座席を設置する。テーブルや柱には白木、座席には畳シートを使った和風のデザインで、天井には巨大な回転ベルトと皿のグラフィックが描かれているという。
店舗では、長い回転ベルトを活用し、世界各国の代表的なメニューを多数提供。メニューは現在開発中で、各国の大使館を巡り、試食と改良を繰り返しているという。他にも、ICTを活用して効率化した「スマート養殖」で育てた魚や、市場に出回ることの少ない低利用魚なども使うという。
●135mの回転ベルトを支えるテクノロジーとは? くら寿司に聞いた
ITmedia NEWSは今回万博に出店する店舗について、くら寿司に電話取材を実施。どのようなテクノロジーで135mの回転ベルトを実装するのか尋ねると「回転ベルトそのものに新しい技術を使うわけではないが、現在他の店舗でも使っているテクノロジーを組み合わせ、135mを実現する」と返事があった。
「長い回転ベルトでは商品の鮮度管理が重要になる。例えば、回転ベルトを流れるすしに付ける透明なカバー『抗菌寿司カバー鮮度くん』を使うことにより、空中のホコリやウイルスの付着、表面の乾燥などを防げるようにする」(同社)
また「製造管理システム」によって、回転ベルトに流すすしの量自体をコントロール。鮮度管理と顧客のスムーズな食事を実現するという。
「このシステムでは、顧客の滞在時間などによって『おなかのすき具合』を数値化し、厨房に表示する。同時に、抗菌寿司カバー鮮度くんに付けたQRタグで商品の消費状況をチェック。この2つの情報を掛け合わせることで、店長の経験や勘に頼ることなく、必要なタイミングで適切な量と種類の商品を提供できるようになる」(同社)
他にも商品の提供に関するフローだけではなく、商品を提供した後の皿も考慮する必要がある。同社では、皿をテーブル備え付けの回収ポットに投入すると、洗い場につながる水路によって自動的に皿が流れていく「水回収システム」を導入するという。
「水回収システムで効率良く皿を回収することで、限られた従業員数で顧客への対応を実現する。ただしこのシステムが135mの長さの回転ベルトにも対応できるのか現時点では不明。今後、システムが作動するかどうか実験し、万博の出店店舗に導入する予定だ」(同社)
同社は「回転ずしは1970年の大阪万博で注目を集めたことをきっかけに、国内に広がった」と説明。それから50年以上が経過し、今回出店する店舗では、サステナブルを意識しながら、くら寿司独自のテクノロジーを詰めこむという。なお出店場所は、大阪・関西万博「フューチャーライフゾーン」を予定している。