2024年09月13日 11:30 弁護士ドットコム
一度は公認した妻の不倫を次第に許せなくなり、離婚話が浮上している——。そのような相談が、弁護士ドットコムに寄せられました。
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相談者の男性は、「妻から職場に素敵な人がいる」といわれ、当時、仕事が忙しかったこともあり、1度は交際を認めました。しかし、妻は相談者に秘密で密会を重ねるようになり、妻の行為が徐々に許せなくなっていったそうです。
夫婦関係は悪化し、別居することになりました。一度は公認した不倫である以上、妻に慰謝料を請求することは不可能なのでしょうか。島田美佐都弁護士に聞きました。
——妻の不倫を一度、公認していますが、妻の行為は「不貞」にあたるとして離婚事由になるのでしょうか
夫が妻の不貞行為を認めることは、夫婦間で互いに負う貞操義務を免除する意味を持ちます。今回は、夫が妻に対して申し訳ない気持ちを抱いていることから不貞に同意しています。そのため、夫の真意に基づいた同意として、有効な同意と考えられます。
法律上の離婚事由として「不貞行為」が定められているのは、夫婦関係の破綻を意味する行為だからです。
しかし、夫の不貞行為への同意は、貞操義務違反にならない、つまり、不貞行為を行っても夫婦関係を破綻させない意思が示されたことになるため、今回の事例では、離婚事由にはならないでしょう。
ただし、夫が妻に対し、以後は不貞行為をやめて欲しいなど、同意の撤回を明確に表明した後でも妻が不貞行為を続けた場合には、離婚事由になります。
なお、夫が同意を撤回しても、不貞行為の当時同意があった以上、さかのぼって同意していた際の妻の不貞行為が離婚事由になることはないでしょう。
——夫の同意があったとして慰謝料が相場よりも減額される可能性はありますか
慰謝料請求権は、不法行為に基づく損害賠償請求権です。夫が同意していた以上、違法性がないと判断され、慰謝料請求も認められないでしょう。
仮に、夫の同意が交際のみで不貞行為を含まない場合や、妻に相手男性について騙されて同意した場合などには、慰謝料請求は認めるが、若干減額されるという解決になることもあると考えられます。
【取材協力弁護士】
島田 美佐都(しまだ・みさと)弁護士
北海道大学法学部、同法科大学院卒業。2014年弁護士登録。弁護士登録後は秋田、東京
、熊本の法律事務所に勤務し、現在は仙台弁護士会所属。家事事件や交通事故事件に精通し
、その他一般民事、企業法務、刑事事件も取り扱う。
事務所名:ソレイユ総合法律事務所
事務所URL:http://www.sendai-soleil.net/