南海キャンディーズ・山里亮太(47)は、どこまでも貪欲でサービスにあふれた芸人だ。4日から8日まで、本多劇場で“妄想活劇”『山里亮太の3333』を行ったが、冒頭からエンディングまで、これでもかというほど“エンタメ”を詰め込んだ2時間超だった。
【ライブ写真】暗闇で…苦悶の表情を浮かべる山里亮太 「山里亮太の1024」、「山里亮太の81」に続き、3回目の開催。坂本龍馬が教科書から消える?そんなことから、世の中に起こる事象、問題などさまざまなテーマを独自の視点で考察していく。そして考察を重ねていく上で山里はあることに気づいていく…。最後に見つける答えとは一体何なのか…という内容だった。
公演にあたって、山里は次のようなコメントを寄せていた。「このシリーズは僕の頭の中をいろいろな形で全て観てもらうものなので、今回も緊張しております。見せていいものなのか?いや、もうやるんだから観てもらうしかない、僕の頭の中のいろいろな思いをマンボウやしろさんの演出でまた素晴らしい作品に仕上げてもらいます」。
会場に来たファンとの関係性を信頼しているがゆえ、踏み込んだ表現も行われており、ここでは具体的なネタバレは避けるが、とにかく全編通して、山里が“ひとり”でさまざまなパフォーマンスを行っていく。「考察」というテーマを踏まえながら、そこから壮大なテーマへと広がりを見せ、山里のトークはもちろん、演技を楽しむパートも用意されている。
山里の“頭の中”に引き込まれていくと同時に、さまざまな“引き出し”で観客を楽しませる山里のサービス精神旺盛さにも驚かされる。敬愛する古舘伊知郎の『トーキングブルース』でのパフォーマンスを彷彿とさせるような、圧巻の“しゃべり芸”を見せる一方、エンディングにかけては、今まであまり見たことなかった一面をのぞかせるなど、最後まで心が揺さぶられ続け、千穐楽のエンディングでは、山里の姿を讃えるように、会場全員がスタンディングオベーションで迎えた。そこでも感慨にひたることなく、すかさずツッコミを入れて笑いを取る山里は、あっぱれだった。
日々、インプットを欠かさず、自らの姿をねほりんぱほりんと掘り下げる山里が見せる、プレミアな“妄想活劇”は、妄想が過ぎて「ナニする!?」と観客が置いてけぼりになるところも含めて、不毛なところは一切ない。笑いにかける思いが強く、ファンを楽しませるようと、これでもかと詰め込む山里には、あざとさを感じるほどだが、妄想での姿をみじんも感じさせず、朝にはまた『DayDay.』の司会を行っていることだろう。