夫に不満はあるが今の生活を変えたくないという理由で、結婚生活を続けている女性は少なくないようだ。一方で、離婚してよかったと思う女性もいる。神奈川県の60代女性(年収700万円)は、「夫の借金が原因」で50代後半のときに熟年離婚した。離婚前は「(一人で)やっていける自信がなかったので、すごく迷いました」というが、
「とても充実した毎日を送っています」
と現在の心境を打ち明ける。離婚を決意してから現在に至るまでを振り返った。(文:天音琴葉)
「10年後に同じことがあったら、どうしますか」弁護士の言葉で目が覚めた
離婚を考えたとき一番気がかりなのは、やはり経済的な問題だろうか。正社員で安定した給料があればいいが、当該女性の場合は結婚後、派遣で働いた経験はあるものの、ほとんど専業主婦だったそう。だが、元夫の借金の件で相談した弁護士に、
「そういう人は繰り返します。あなた、まだ働けるからいいけど、10年後に同じことがあったら、どうしますか」
と聞かれて初めて、現実を受け入れた女性。弁護士が思わずそう言いたくなるほどの借金癖が、元夫にはあったのだ。
「実は、夫はそのときが初めての借金ではなく、以前にも同じくらいの額を借金していたことがあり、そのときは何とか若年退職をして、退職金を借金返済に充てて何とか乗り切っていた」
と女性は明かした。こうして離婚を決意したものの、女性には気がかりなことがあった。離婚時の財産分与だ。
「そのころ、夫の両親は他界していましたが、元々夫の父が所有していた家、土地なので、私には権利がない、というのが夫の主張でした。『でも君にもやるよ』というまるで、お情けのような言い方に本当に腹が立ちました」
結局、家庭裁判所に申し立て、元夫との話し合いの末に家と土地を売却し、その金額の6割を女性がもらうことになった。また元夫が定年になるまで「月6万円の支援金」を払うことも決まった。
「誰に気兼ねすることもなく、自由でとても楽しいということに気づきました」
女性は再出発するにあたり、田園都市線沿線に2400万円ほどで2 LDKのマンションを購入した。家と土地の売却代金が入るまで母親と姉からお金を借りたようだが、住まいが決まったことで「何とか落ち着きました」と当時の心境を振り返った。
その一方で、「経済的な不安は残り、どうなることかと思いました」と吐露。元夫から毎月支払われる6万円だけでは生活できず、仕事を見つけなければならなかっただろう。最初は不安もあった様子だが、現在は独身生活を謳歌しているようだ。
「思った以上に一人暮らしは快適で、毎日仕事しなければならないことを除けば、誰に気兼ねすることもなく、自由でとても楽しいということに気づきました。以前は家族のことをまず考えなければならなかったのですが、子どもたちもそれぞれ独立して別居しているし、時々外で会って食事、年末年始は皆で泊りに来てくれるし、寂しさも不自由さも感じませんでした」
現在は保育士として働いている女性。「少々疲れます」と本音をこぼすも、「週4日、1日6時間という働き方で一応社保も入れる」といい、大方満足しているのだろう。
これまでお金で苦労してきたので、資産運用をして利益を上げている。元夫との年金分割で入ってくるお金もそれなりにあるようで、「経済的には問題がなく、年2回くらいの旅行や趣味を楽しんでいます」とのことだ。
「いずれ、絵本と児童書の店を持つという夢もあります」と明かしていることからも、暮らしに余裕が窺える。
「その後、定年退職した夫からお金を貸してほしい、と言われ、22万円ほど都合してあげたこともあります。無論、返ってはきませんでしたが。(中略)今では離婚してよかったと心から思います。あのまま結婚生活を続けていたら、恐らく共倒れだったでしょう」
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