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商業施設から出店オファー多数、ワールド新ブランド「ギャレスト」が見つけた「対極の組み合わせ」

2024年09月06日 10:01  Fashionsnap.com

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フィールズインターナショナルの中島啓太 GALLEST屋号長

Image by: FASHIONSNAP
 フィールズインターナショナルのブランド「ギャレスト(GALLEST)」が好調だ。販路の中心であるECの売り上げは、2023年2月のデビューから右肩上がりを続けており、計画に対して二桁増を達成している。また、随時展開しているポップアップストアも好調で、ファッションビルや百貨店などからの出店要請も多数舞い込んでいるという。今回はフィールズインターナショナルの中島啓太 GALLEST屋号長に、好調の要因を聞いた。

コロナ禍を経て見出した新路線
 ワールド傘下のフィールズインターナショナルは、「インディヴィ(INDIVI)」や「アンタイトル(UNTITLED)」など、比較的コンサバティブな印象が強いキャリア系のブランドを、百貨店を中心に展開している。2020年に訪れたコロナ禍では、顧客のニーズの変化を感じたという。
「コロナ禍以前から日本のファッションのカジュアル化や、消費のチャネルレス化が進んでいましたが、そういったマーケットの状況に対応できるブランドが当社にない、という気付きからブランドの企画が始まりました」(中島屋号長)

 「巣ごもり消費」ではルームウェアが売れ筋となり、ルーズなシルエットや柔らかい色使いが特徴の「ゆるだぼ系」や古着など、カジュアルでリラックス感のあるファッションが人気となっていたが、ギャレストが選んだテイストは「モードカジュアル」だった。
「世の中にモードカジュアルを謳うブランドは数多くありますが、比較的買いやすいミドルプライスのモードカジュアルブランドは、ありそうだけどなかったのではないかと思います」(同氏)
デザイン性の高いアイテムがフックになる
 中島屋号長は、ギャレストのターゲットについては「特に年齢で区切っている訳ではない」としながらも、現時点では20代、30代からの反応は感じているという。
 ギャレストでは商品の先行予約販売を随時行っており、そこで特に売れ行きが良いのが、シャーリングやギャザーなどが加えられた、デザイン性の高いトップスだ。2023年秋冬では、シャギー素材のアニマル柄ニットが売れた。そういったフックのあるデザインのアイテムは、ECを通じてブランドに馴染みのある既存顧客だけではなく、ポップアップストアを偶然訪れた新規客にも評判が良いという。また、デザイン性の高いアイテムはスマートフォン広告とも相性が良く、LINE広告やニュースアプリの広告では高いインプレッション数とクリック数を獲得するという。

 また、大手アパレル企業ワールドグループとしての強みも生かされている。生産管理や仕入れ、調達関連など、商品の品質についての管理を徹底しており、その成果を中島屋号長が実感するのはポップアップストアでの反応だ。
 「ポップアップストアでお客様が商品を見て驚くのは、デザインに対する価格の価値です。ギャレストはまだ、ブランドとして広く認知されている訳ではありません。ポップアップストアではまず商品を見て『可愛い!』と手にとっていただき、そこで価格を見て驚かれる、というパターンが非常に多く見られます。こういった『価値と価格のバランス』が圧倒的に優れている点が、ギャレストの一番の強みだと思います」と語り、ポップアップや広告などでタッチポイントを作れればきちんと評価されると、同氏は手応えを感じている。
対極の要素を掛け合わせることで生まれる価値
 とはいえ、ギャレストはデザイン性と価格だけを強く訴求している訳ではない。中島屋号長は、ギャレストのキーワードのひとつとして「対極の組み合わせ」を挙げる。「シーンレスワイドパンツ」はそのキーワードを体現する、同ブランドのヒットアイテムだ。センタープレスとサイドラインでファッション性をアピールしながらも、穿き心地が楽なゴムウエストや、自宅で洗えてしわになりにくいノーアイロン生地など、高い実用性も兼ね揃えている。

「私の個人的な意見ですが、デザイン性の高いモードブランドはプロダクトアウトで、実生活での機能性が低いアイテムが多い印象があります。ですが、私はデザイン性と実用性は相反するものではないと考えており、そういった対極の要素を掛け合わせることで、新しい価値を生み出すことができると思っています」(同氏)
 さらに中島屋号長がギャレストの特徴として挙げたのが、「着用シーンの広さ」と「着用期間の長さ」である。近年のビジネスシーンのカジュアル化により、仕事着と普段着の境界が曖昧になっている。様々なシーンでの着用が可能になるように、提案するスタイリングには「緩さ」と「スタイリッシュさ」のメリハリを付けているという。
ファッションを通してワクワクを創出
 最初に触れたように、フィールズインターナショナルの既存ブランドはコンサバティブなテイストが多く、会社としてもコンサバティブなイメージを持たれがちだったが、ギャレストを始めたことによりデベロッパーに対しての会社のイメージを広げる役割も果たしている、と中島屋号長は語る。ポップアップストアの成功などを受けて、商業施設からも多く出店要請を受けており、今後は「中身を厳選しつつも、積極的に出店していきたい」という姿勢だ。直近では9月25日からジェイアール名古屋タカシマヤでのポップアップを予定。同所以外にも複数の場所でポップアップを検討しており、将来的に常設店舗の出店につなげたい考えだ。
 最終的にはどういったゴールを目指しているのか、という質問に対し中島屋号長は「ファッションを通してワクワクする機会を創出することは常に目指していたいと考えています。お客様がワクワクする気持ちでお買い物できたり、従業員や関係者がワクワクする気持ちで仕事ができるブランドにしたいですね」と、意欲を語った。

■ギャレスト ポップアップストア場所:ジェイアール名古屋タカシマヤ 5F イベントスペース期間:2024年9月25日(水)~10月1日(火)