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イスラエル支持でカマラ・ハリス候補に失望、ティム・ワルツ副大統領候補に希望を…アメリカの若者は民主党全国大会をどう評価した?

2024年09月06日 06:10  TOKYO FM +

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イスラエル支持でカマラ・ハリス候補に失望、ティム・ワルツ副大統領候補に希望を…アメリカの若者は民主党全国大会をどう評価した?
ジャーナリストでZ世代専門家のシェリーめぐみがパーソナリティを務めるinterfmのラジオ番組「NY Future Lab」(毎週水曜日18:40~18:55)。ジャーナリストでZ世代専門家のシェリーめぐみが、ニューヨークZ世代の若者たちと一緒に、日本も含め激動する世界をみんなで見つめ、話し合います。社会、文化、政治、トレンド、そしてダイバーシティからキャンセルカルチャーまで、気になるトピック満載でお届けします。

8月28日(水)のテーマは「アメリカZ世代が民主党全国大会を振り返る ハリス氏への失望とワルツ副大統領候補への期待とは?」。「NY Future Lab」に所属するアメリカZ世代が、現時点におけるカマラ・ハリス候補とティム・ワルツ副大統領候補の評価について語り合いました。


※写真はイメージです



◆カマラ・ハリス候補がクリアすべき課題は多い


4日間にわたる与党・民主党の全国党大会が終わり、アメリカ大統領選まであと2ヵ月ちょっと。ラストスパートを迎えています。

党全国大会は、それぞれの党の立候補者の元に、全米の党員が結束し、最後の選挙戦を戦うための非常に重要な催しです。つい1ヵ月前にバイデン大統領と交代したばかりのカマラ・ハリス候補が、この短期間でどれだけ党を結束させることができるのかが大きな焦点でしたが、イベントとしては大成功だったと評価されています。

そんななか、今回の大統領選の鍵になると言われているのが、若いZ世代有権者の投票の行方です。以前からお伝えしているように、アメリカZ世代は民主党に強く寄っています。若者たちの投票率が上がれば民主党のハリス候補が有利となり、そうでなければトランプ氏が勝利すると考えられています。

ハリス候補がバイデン氏と交代した直後から、若者の支持は急激に上がっています。以前の放送でもお伝えしましたが、ラボのメンバーたちは選挙に新たな希望が生まれ、よりエキサイティングに感じられるようになったと話しています。

しかし、その反面「実際にどんな政治をやってくれるのかいまいちわからない」「女性でマイノリティということへの抵抗にどう立ち向かうのかが不安」という意見が出ました。今回の民主党大会で、ラボメンバーたちはこうした不安を解消することはできたのでしょうか?

メアリー:カマラのスピーチはすごくいいと思った。彼女の生い立ちや彼女自身についてもっと知ることができた。大会全体でも、これまでと同じように彼女がどんな人かを強調していたよね。

ただ、少しイラッとしたこともある。たとえば、彼女のウェブサイトを見ても政策について書かれたページがまったくない。これは共和党のハリス攻撃の1つになっているけれど、事実だと思う。たとえば、民主党大会でイスラエルの家族だけが話すことが許されて、パレスチナ人が話す機会がなかった。これはすごくおかしいし、矛盾していると感じた。

ノエ:カマラはスピーチで、イスラエルを支持するのと同時に、パレスチナ人の悲劇についても話していたよね。カマラが政治的な立場からイスラエルを支持し、国民としてのイスラエル人を支持したい気持ちはわかる。だけど、彼女が話す方法というか、「イスラエルは被害者」みたいに伝えていたのがすごく気になった。

だって実際には、パレスチナ人の一方的な虐殺がおこなわれている現実があるんだよ。もちろん、10月7日のハマスの攻撃がきっかけだったとはいえ、その後はパレスチナに対する一方的な爆撃が続いているのに。

アメリカZ世代の多くはパレスチナを支持していることから、イスラエル支持のバイデン大統領の人気は低迷していました。だからこそ、ハリス氏がバイデン氏とは異なるパレスチナ問題への向き合い方をしてくれるのではないか、新しい政策を打ち出してくれるのではないか、という淡い希望を抱いていたのです。

もちろん、長いアメリカの歴史を見れば、方針の転換がいかに困難であるかは若者たちもわかっています。「彼らの反応からは、以前と同じように民主党の他のすべての価値観や考え方には100パーセント同意するけれども、パレスチナ問題だけは同意できない、という彼らの苦しい胸の内が伝わってきます」とZ世代専門家のシェリーは話しました。


(左から)ミクア、シェリー、ヒカル、ノエ、シャンシャン、メアリー/©NY-Future-Lab



◆ティム・ワルツ副大統領を若者たちが支持する理由

ハリス氏にシビアな見解を示すなか、ラボメンバーたちが民主党大会でもっともよかった点として挙げたのが、ティム・ワルツ副大統領候補の指名です。

メアリー:素晴らしかったのは、ティム・ワルツ氏を副大統領候補に指名したことだよね。本当に彼でよかった。ワルツはプロフィール的にも、進歩的な政策という点でも、カマラとすごくバランスが取れていると思う。

カマラは元検事だし、超エリートな感じがあるじゃない? ところが彼は元軍人で、フットボールのコーチや教師でもある。すごく謙虚な経歴だよね。彼は本当にただの普通の男だからこそ、すごく人間味が感じられる。だから、そのマトモさがとても心地いいんだと思うよ。そういう雰囲気で投票する人もけっこういると思うな。

ミクア:ワルツが好きな人は多いよ。経歴もすごく普通。とても家族思いの人だと褒めている人も多いよね。あと彼は、LGBTQの権利や気候変動などにも大きな関心を持っている。だから、彼女が彼を選んだ理由は理解できる。

特に、彼女を支持する層とは違うタイプの有権者にアピールできる要素を持っているよね。つまり、カマラのような人種的少数者であり、女性である場合、選挙で勝つのはとても難しいということなんだよね。

ノエ:それって何か変だよね。大統領候補がマイノリティだったら、そのバランスを取るために白人男性が必要ってことでしょう? これは別にトランプ支持者がどうのこうのと言っているんじゃなくて、中道左派の左寄りの人々のことだよ。

彼らの多くは、マイノリティで女性の大統領や副大統領に対して、まだ違和感を持っているんだよ。これが“今のアメリカ”なんだよね。

経歴や政策だけでなく、マイノリティで女性という部分のバランスも取っているというティム・ワルツ副大統領候補。女性かつマイノリティの大統領がアメリカに初めて誕生しようとする背景には、それを強く支持するZ世代の半数近くが、白人以外のマイノリティ(ピープル・オブ・カラー)いう現実があります。

同時に、年長世代はまだまだ白人が優勢で、女性の大統領に懐疑的であることもよくわかっています。だからこそ、ワルツ候補を歓迎している傾向にあります。「では、こうしたZ世代に投票してもらうために、ハリス氏はこれから2ヵ月ちょっとのあいだに何をすればいいのでしょうか?」とシェリーは発言し、話題を次週につなげました。

<番組概要>
番組名:NY Future Lab
放送日時:毎週水曜日18:40~18:55放送
出演:シェリーめぐみ
番組Webサイト: https://www.interfm.co.jp/nyfutureweb
特設サイト:https://ny-future-lab.com/
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