ホアキン・フェニックスが主演する映画『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』(通称『ジョーカー2』)が、日本時間9月4日、第81回ベネチア国際映画祭コンペティション部門にて公式上映(ワールドプレミア)され、ホアキン、共演のレディー・ガガ、トッド・フィリップス監督が登場。世界初披露となった本作に12分間のスタンディングオベーションと称賛の声が飛び交った。併せて今回の出品を記念し、ジョーカーの笑い声が響く新映像が公開された。
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本作は、孤独だが心優しい男が、ゆがんだ社会のはざまで“悪のカリスマ”へと変貌を遂げていくドラマを描いた映画『ジョーカー』(2019)の、続編にして完結編。
前作では、コメディアンを夢見る孤独だが純粋で心優しい男、笑いのある人生は素晴らしいと信じ、都会の片隅でピエロメークの大道芸人をしながらドン底から抜け出そうともがく彼が、理不尽だらけの世の中で、悪のカリスマ“ジョーカー”へと変貌を遂げるまでが描かれた。第76回ベネチア国際映画祭では最高賞の金獅子賞を獲得、第92回米アカデミー賞では、作品賞、監督賞、脚色賞を含む最多11部門にノミネートされ、ジョーカーを演じたホアキン・フェニックスが主演男優賞の栄冠を手に入れた。
前作から2年後が舞台となる今作では、社会への反逆者・民衆の代弁者として祭り上げられたジョーカーの暴走がさらに加速。ジョーカーはレディー・ガガ演じるリーと呼ばれる謎の女と出会い、ジョーカーの狂気がリーへ、そして群衆へと拡散。世界を巻き込むジョーカーの新たなショー=事件の幕が開ける―。
日本時間9月4日、第81回ベネチア国際映画祭コンペティション部門にて公式上映(ワールドプレミア)が行われ、ついに本作が世界で初披露された。上映に伴い実施されたレッドカーペットセレモニーには、主演のホアキン・フェニックス、レディー・ガガ、トッド・フィリップス監督らが登場し、同日開催となった記者会見にも登壇。全世界が待望する『ジョーカー2』の初お披露目ということで、大勢のマスコミとファンたちがあふれかえり、会場は熱狂に包まれた。
ホアキンが登場すると会場に集まったファンやマスコミからは大きな歓声が起こり、カメラのフラッシュが一斉に焚かれ、盛り上がりは最高潮に。ホアキンは本作について「なぜ多くの人が前作に共感したのかは正直わからないです。それぞれの観客が、それぞれ違った要素に惹かれたんだと思います。いつもみなさんが語る内容に驚かされます。今回の作品は“安心を感じる愛への追求と切望”だと思います」と語った。
さらに本作の重要な要素の一つとなる“音楽”については「物語に合わせて選び抜かれた曲だからこそ、その解釈を理解することが鍵でした。歌唱シーンの撮影はすべてライブで録音されたものです。テイクごとに声が異なって、とてもエキサイティングな体験でした」と明かした。
物語のカギを握る謎の女性リーを演じたレディー・ガガは「ホアキンと仕事ができたのは本当に光栄だったし、とても楽しい体験でした。彼には解き放たれて自由なところがあって、これまでのわたしの映画経験とは全く異なるものになりました。毎日、いかに正直で、真実にみちた瞬間を表現するかということに集中しました」と振り返る。そして「トッド監督が伝えるストーリーはとても興味深いもので、“これは絶対に思いつかない”というものに仕上がっています。みなさんには、私たちが決めるのではなく、映画を観て自分自身でこの作品のテーマをみ見つけ出してほしいです」とメッセージを。
続編作品として史上初となる、最高賞“金獅子賞”の連続受賞の期待を背負うトッド・フィリップス監督は「私たちとしては大きなプレッシャーを感じていました。実際に続編を作ることになったとき、私たちは大胆でなければいけなかったし、続編だとしても前作と比べて予想外の作品にするには、どうするべきかと考えていきました」と明かす。さらに「前作のジョーカーは、目には見えなくても彼の心の中には音楽と愛が溢れていた。本作では客観的な視点よりも、ジョーカー自身の目を通して多くの情報が表現されている。そしてリアリズムという点では共通しますが、より想像的で象徴的なシーンが多くあるのが、本作の特徴だと思います。そして…この作品は、1作目に対する“答え”ではないとも加えておきます」とコメントした。
公式上映後には、かつてない衝撃を目撃した観客から、キャスト・監督に向けて12分間に渡るスタンディングオベーションと称賛の歓声が贈られた。
併せて今回の出品を記念し、ジョーカーの笑い声が衝撃的な映像の数々と共に響く新映像が公開された。
映画『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』は、10月11日より全国公開。
キャスト&監督コメント全文は以下の通り。
<コメント全文>
■ホアキン・フェニックス(ジョーカー役)
なぜ多くの人が前作に共感したのかは正直わからないです。それぞれの観客が、それぞれ違った要素に惹かれたんだと思います。いつもみなさんが語る内容に驚かされます。今回の作品は“安心を感じる愛への追求と切望”だと思います。
この作品で象徴的な音楽は、物語に合わせて選び抜かれた曲だからこそ、その解釈を理解することが鍵でした。歌唱シーンの撮影はすべてライブで録音されたものです。テイクごとに声が異なって、とてもエキサイティングな体験でした。
減量については、詳しく語るつもりはないよ。退屈だと思うから(笑)。でも前よりも難しかった。というのも、今回はダンスシーンが多く、ダンスのリハーサルもたくさんやる必要があったから。今49歳ですが、もうこのような事はしない方が良いでしょうね(笑)。
■レディー・ガガ(リー役)
前作にとても心を揺さぶられました。トッドはとても美しく素晴らしい作品を作り、そしてホアキンの演技も素晴らしかった。今までに観たことがない作品だったと感じたことが、今作で私が参加した理由です。
わたしたちのアプローチは特別で、とてもニュアンスに富んだものでした。通常の映画で描かれるような歌唱シーンとはとても異なるもの。この映画での音楽の使い方は、キャラクターの感情を表現すること。セリフだけでは十分ではなく、キャラクターたちが言いたいことを音楽で表現しています。ジョーカーの中には常に音楽が流れていて、私はただ、トッド監督のビジョンを音楽とともにやり遂げただけです。
ホアキンと仕事ができたのは本当に光栄だったし、とても楽しい体験でした。彼には解き放たれて自由なところがあって、これまでのわたしの映画経験とは全く異なるものになりました。
毎日、いかに正直で、真実にみちた瞬間を表現するかということに集中しました。トッド監督が伝えるストーリーはとても興味深いもので、“これは絶対に思いつかない”というものに仕上がっています。みなさんには、私たちが決めるのではなく、映画を観て自分自身でこの作品のテーマを見つけ出してほしいです。
■トッド・フィリップス(監督)
この映画と共にベネチアに戻ってくる事に対して強い思いがありました。しかし期待値も上がっているのも感じているため、本作に関してはとても緊張しています。前作に関しては、僕たちが何をしているのかは誰にも知られていなかった。本作では一転、常に注目され続けていた。撮影中から様々な憶測や考察がネット上にあがっていたので、私たちとしては大きなプレッシャーを感じていました。
ホアキンはもともと“続編”をやる必要はないと考えていました。前作の時に「次もやろうか」なんて冗談で話してはいましたが、実際にやるとなったらそれはホアキンにとってもある意味恐怖でもあると思います。実際に続編を作ることになったとき、私たちは大胆でなければいけなかったし、続編だとしても前作と比べて予想外の作品にするには、どうするべきかと考えていきました。
前作のジョーカーは、目には見えなくても彼の心の中には音楽と愛が溢れていた。本作では客観的な視点よりも、ジョーカー自身の目を通して多くの情報が表現されている。そしてリアリズムという点では共通しますが、より想像的で象徴的なシーンが多くあるのが、本作の特徴だと思います。そして…この作品は、1作目に対する“答え”ではないとも加えておきます。