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小泉今日子×小林聡美、55歳おさななじみ演じる新作は「“団地”だから描けるテーマと魅力が詰まっている」

2024年09月05日 18:10  クランクイン!

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ドラマ『団地のふたり』キービジュアル (C)NHK
 俳優の小泉今日子と小林聡美が4日、W主演を務めるドラマ『団地のふたり』(NHK BSプレミアム4K・NHK BS/毎週日曜22時)の取材会に登場。何度も共演を重ね、気心の知れた2人だからこそ生み出せる空気感が心地よい本作の魅力を語った。

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 藤野千夜の原作をドラマ化する本作は、団地で生まれた幼なじみの野枝(小泉)と奈津子(小林)、50代、独身、実家暮らしの2人の日常を描く温かくユーモラスな物語。

 脚本を読んだ感想を小泉は「原作は小さなお話というか長いストーリーではなかったから、どんな脚本になるのかな?と思っていた」そうで、「いただいた時に、ほぼ原作に詰まっているものが1話に入っちゃうんだ」と感じたという。一方の小林は、「日常的なお話なので、余白の部分がすごく多くて。ほぼ2人のやりとりが多かったので、会話の量と会話の雰囲気でドラマのテイストも決まっていきそうな感じもして、これは大変そうだなと思いました」と笑った。

 野枝と奈津子は同じ団地で育ち、半世紀にわたる仲のおさななじみ。オファーの段階では、どちらがどちらの役を演じるかは知らなかったようで、「どっちになるんだろうね?」と話していたそう。それぞれのキャラクターについても、「(小泉と小林の)2人を混ぜて、(野枝と奈津子の)2人に分けたよう」と語るなど、似通った部分を感じているようだ。

 そんな2人が紡ぐ本作の魅力について尋ねると、「同性のお友達同士のシスターフッド的なものっていろんな世代で物語が作られてきたと思うんですけど、(本作の)55歳の親友がちょっと一味違うのは、それぞれ別の場所に行って、いろんな経験をしたうえで戻って来て2人の時間がある。そこがちょっと違う味わいになっているなと思います」(小泉)、「団地という環境の中でいろんな人が暮らしていて、それぞれの関わり合い方っていうのが、ドラマだからっていうのもあるのかもしれないですけど、あったかくて。今の時代にみんなが求めているようなホッとできる関係性が描かれているところが魅力の1つなのではないかなと思います」(小林)と解説。

 さらに、「同じ間取りでいろんな生活があるっていうのが団地ならではで、それを番組の中で毎回お伝えできるのが面白いのかなって。おしゃれだったり、引っ越してきたばかりで何もなかったりといろんなゲストの方のお家があって。そうした団地だからできる面白さというのは楽しみにしていただければと思います」(小泉)とも。

 昨今団地の高齢化、過疎化が話題になっているが、小泉は「原作ではたくさん描ききれなかった、団地というコミュニティーを通して見えてくる社会みたいなものを、ドラマではすごくフォローできている」と話す。「今後いろんなキャラクターがゲストで出てくるんですけど、それぞれのエピソードで社会に通ずる問題が絡んでくる作りになっていると思います。私が特に印象に残っているのは『親の介護』を扱った回。自分も経験しているので、切実だなと思って撮影していました」と振り返った。小林も「私達世代は高齢の親と向き合う世代でもある」とうなずきつつ、「現実では渋いことでも、ドラマではハートウォーミングに届けられる感じになっているのかなとは思います」と語る。

 同学年の小泉と小林は10代で出会い、それからさまざまな作品で共演を重ねてきた。「しょっちゅう会ったり、メールや電話をしたりはしない」「お互い知らない部分も多い」そうだが、「子どものころに見ていた世界だとか、そういうものが共有できる」「嫌なこととか、『ちょっとこれは恥ずかしいな』っていうことの感覚が合っている」と、お互いへの信頼感は絶大。

 劇中の野枝と奈津子も、そして小泉と小林も50代。「ノエチとなっちゃんは、団地の中では若手とか、まだ中堅とも言われています。先輩方の何かを手伝ってあげたり、手助けをできる世代。そこに若い人が入ってきたときは、若い人と先輩方をつなげてあげることもできる。独身だし、子どももいないし、自分たちが世の中の役に立つことが少ないなと思っている中で、そのお手伝いができたり、架け橋になれていることが幸せに感じたり、された人もちょっと幸せになれたりと、そんな小さな幸せの循環が描かれている」と語る。

 それぞれが思う「幸せ」について尋ねると、小泉は「私自身が幸せだなと思うのはやっぱり、野枝ちゃんと同じで、この世界の中で生きていて、健康で、自分ができることを見つけられているってことが自分にとっての幸せかなと思う」と明かす。一方の小林も、「幸せの循環っていう言葉でいうと、自分が優しくしてもらってちょっとうれしかったことで人にもちょっと優しくしてあげて。そう循環していくのが、いい流れなのかなと思いますし、何より心身ともに健康でいられることは、ちょっと余裕にもなるし、余裕ができると人のことも考えてあげられるし、そういうことから幸せが広がっていくのではないのかなと思います」と話す。

 そんな何気ない日常の中にある、小さな幸せを描く本作。小泉と小林の2人が作り上げたあたたかい空気感と共に楽しみたい。

 ドラマ『団地のふたり』は、NHK BSプレミアム4K/NHK BSにて毎週日曜22時放送。