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わずか86gの4Kカメラも登場──今年の「GoPro」新製品はテイストが異なる2機種だった

2024年09月05日 10:11  ITmedia NEWS

ITmedia NEWS

超小型の「HERO」。幅は56.6mmで重さは86gしかない

 毎年、秋の恒例となっているGoProの新製品が発表された。例年とちょっと違うのは別々に開発された2つのカメラが同時に登場したことだ。


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 一つは従来の「HERO12 Black」をより進化させた「HERO13 Black」。こちらはフラッグシップ機だ。もう一つは無印の「HERO」。こちらは小型軽量を追求したモデルという位置づけになる。


●小型軽量を追求したHERO


 HEROは、GoPro史上最小の4Kカメラ。小さくて軽くてシンプルで廉価なまったく新しい製品だ。


 エントリー向けの廉価なモデルと思うと、HERO 12や13をコストダウンしたものと思われがちだけど、全然違う別ラインの製品だ。何しろ小さいのである。


 重量はHERO12 Blackの153gに対して、HEROは86gと44%の軽量化、サイズも35%の小型化を実現した。


 見て分かるようにフロントディスプレイを省いて小型化を実現した。バッテリーも着脱できない内蔵式だが、フルHDで約1.5時間は稼働できるという。


 位置づけとしては、エントリー向け。従来のHERO Blackシリーズはどんどん性能があがり、利用されるシーンも増え、その分機能も設定できる項目も増え、高性能だが初見では使いこなしづらい製品になっていた。


 そこを補うべく登場したのが「HERO」だ。機能も操作系もシンプルで、撮影モードは静止画と動画とスローモーションのみ。動画も4Kで30fpsで抑えているし、スローモーションや写真の設定も一つだけだ。


 レンズの画角は165度とかなりの広角。


 小型化・低コスト化の影響かGoProならではの超強力な手ブレ補正「HyperSmooth」は本体には未搭載で、その処理はスマートフォン側で行う仕様になっている。スマートフォンに転送すると同時にQuikアプリが自動的に「HyperSmooth」をかけるの基本的な使い方をする限りは問題なさそうだ。


 エントリー向けといいつつ、レンズの画角は約165度と広いし、小型軽量を活かしてよりカジュアルな使い方もできる。


 価格は199ドル(日本では3万4800円)と廉価。


 エントリーユーザーにもいいが、どこにでも装着できてミスなく操作できるシンプルなアクションカメラとして良さそうである。ここまで小さくて軽いと、今までより幅広く過酷な環境での撮影ができそうで、そういうときとっさに動かすにはシンプルさは重要だ。


 水中で使うときに手放してしまっても浮かんできてくれるFloatyと衝撃への耐性を高める保護スリーブの2つが専用のオプションとして用意されている。


●レンズ交換も可能なハイエンド機HERO13 Black


 従来モデルのアップデート版がフラッグシップのHERO13 Blackだ。カメラとしての性能の強化、拡張性の強化、そしてGPSの復活。この3つがトピックかと思う。


 HERO9から始まったフォームファクターは、この13 Blackで完成したという。


 基本性能面では5K/60fps、4K/120fpsと従来と同様だが、新たにHLG規格のHDR動画に対応。720pであれは400fpsという超スローモーション(15秒間で13倍のスローモーションとなる)撮影にも対応した。


 バッテリーは少し大きくなり、1900mAhへ。フルHD/30pの場合、2時間半以上の長時間撮影が可能になった。


 より注目したいのは拡張性。長時間撮影を行うためのドアキットは、マグネットで装着する電源ケーブルと接続。カバーを閉じたままで給電できるので過酷な環境でも外聞電源を接続して撮影できる(Contacto)。


 続いてはレンズ。前面に装着するレンズモジュラー(コンバージョンレンズ)としてHBシリーズのレンズを4種類用意した。


 超広角レンズモジュラーを付けると画角がデフォルトの155度から177度に広がる。


 今回、新たに1:1のアスペクト比が用意されたので、超広角レンズモジュラーを付けて1:1で撮れば撮影後に縦位置でも横位置でもクロップして作品にできる。これはいい。


 マクロレンズモジュラーはマクロ撮影用。AFは持たないのでマクロレンズモジュラーのリングを操作してフォーカスを合わせる(ピーキング機能付き)。


 NDフィルターは4パック。ND4からND32まで用意されており、昼間でもわざとシャッタースピードを落とす、あるは明るすぎてシャッタースピードが上がりすぎるときなどに使える。


 4つめはアナモフィックレンズモジュラー。映画のようなより広いアスペクト比の動画をクロップせずに撮影できるレンズ。


 これらのレンズは装着すると自動的にカメラに認識されるため、いちいち設定する手間がないのもいい。


 発売はアナモフィックレンズが2025年、それ以外は今年秋を予定している。


 続いてはマウント。


 折り畳み式のマウントフィンガー(いわゆるGoProマウント)、マウントフィンガーを折り畳んだ時に使える1/4インチの三脚穴に加え、GoProでもとうとうマグネットを使ったマウントが追加された。


 実際に使ってみないとなんともいえないが、GoProマウントは着脱するのにネジを外したり付けたりせねばならず、頑丈で外れないというメリットはあるものの、付け替えが多いときに面倒だ。


 マグネット式ラッチマウントはマグネットと爪で固定するので着脱がすごく簡単。装着用のアクセサリーを複数用意してその都度必要な場所に付け替えて撮影するときに便利そうだ。


 バッテリー内蔵グリップやライトなどVlog向けのCreator Editionでもマグネット式ラッチマウントを採用している。


 GoProの特徴を考えると、複数のレンズモジュラー、マグネット式ラッチマウント、マグネット式の電源(Contacto)などはより利用範囲を拡げ、使いやすくするよいアップデートだと思う。


 最後に内蔵GPSの復活。前モデルで省かれてしまった内蔵のGPSが復活した。


 撮影した動画に位置情報が付加されるので素材の管理に役立つほか、そのデータを動画にオーバーレイできるので、ルートや速度を付加したビデオを作れる。


 価格と発売日だが、新ラインの「HERO」は9月22日発売予定で、参考価格は3万4800円、フラッグシップモデルの「HERO 13 Black」は9月10日発売予定で参考価格は6万8800円となっている。


 超小型軽量(+シンプルで低価格)で装着の負担なく自由に扱える「HERO」か、より高性能で拡張性が上がったHERO 13 Blackか。自分が撮りたいシーンに応じて決めたい。