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電気自動車といえばイブニオン? 三菱自動車らがプラットフォームを運営開始へ

2024年09月05日 08:30  マイナビニュース

マイナビニュース

画像提供:マイナビニュース
三菱商事、三菱ふそうトラック・バス、三菱自動車工業の3社は、電気自動車(EV)関連サービスのプラットフォーム「イブニオン」を立ち上げ、2024年10月1日に運営を開始する。イブニオンとは何なのか。イブニオンで何ができるのか。説明会で聞いてきた。


EV関連サービスのプラットフォーマーを目指す?



「イブニオン」は「EV」と「UNION」(団結、つながり)を組み合わせた造語だ。三菱自動車ら3社はイブニオンを運営するイブニオン株式会社を2024年6月6日に設立。10月1日は事業を開始する予定としている。



イブニオンは「EV総合サービスプラットフォーム」であるという説明なのだが、要するに、EVについてのいろいろな情報、商品、サービスが載ったwebサイトのようなものだ。例えば、EV購入にあたり、自宅にどんな充電器を設置したらいいのか、どんな電力プランを選べばいいのか(選べるのか)、「V2X」(EVのバッテリーに貯めた電力を家庭などで活用すること)を利用するにはどうしたらいいのか、そんな疑問が浮かんだら、とりあえずはイブニオンにアクセスしてほしい。そういう話らしい。



個人ユーザーのみならず、法人ユーザー向けにも「コンシェルジュ」などのサービスを用意する。「EVとは何か」といったような基本的な情報も記事コンテンツで発信していくそうだ。


ちなみに、イブニオンには充電器などEV関連の製品に関する情報は載っているし、モノによっては見積もりをとるところまで同サイト内で進んでいけるのだが、EVそのもの(クルマ)の商談に移行することはできないようだった。新車情報の掲載については将来的に考えていきたいというのがイブニオン代表取締役社長 窪田賢太さんの説明だ。イブニオンの収入源としては、とりあえずは「掲載料」「紹介料」「広告宣伝料」などを想定しているという。


中古EVが増えたら便利かも?



三菱製EVのユーザー以外にも使ってもらいたいというのがイブニオンの考えだが、親会社の3社がすべて三菱ということになると、掲載されている情報やサービスに偏りがないのか、使う側としてはちょっと疑ってみたくなってしまう。そのあたりについて窪田さんは、「親会社の3社に三菱の名前が入っているので、完全に払しょくするのは難しいものの、名前が極力出ない形でプラットフォームを作っていきたい。独立したオープンプラットフォームとして成長していきたい」と話していた。


例えばレクサスのEVを購入しようと考えている人が、「とりあえずイブニオンを見てみよう」と思うのかどうかは疑問なのだが、EV関連でこの手のワンストップサービスが世の中にあるのかといえばなさそうなので、知名度が上がっていけば、メーカーやブランドの枠を超えたプラットフォーマーとして存在感を示すことも夢ではないのかもしれない。利用者数の目標について窪田さんは明言を避けたが、「EVの普及スピードについてはさまざまな議論があるが、脱炭素、カーボンニュートラルに向けて動いていく中でEV化は不可逆と確信している。市場が拡大する中でユーザーを獲得していきたい」と話していた。



窪田さんの説明を聞いていて「なるほど」と思ったのだが、中古EVが増えていったときにはイブニオンのようなサービスが真価を発揮するかもしれない。中古車の販売店は大きな自動車メーカー(の販売ネットワーク)に比べると人手が少ないだろうし、EVについて網羅的な知識を備えたスタッフを十分に確保するのも大変だろうからだ。そのあたりの役割を担えれば、イブニオンは中古EV販売の現場でなくてはならない存在になれるかも? 今後の動向に注目したい。(藤田真吾)