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「夢のよう」完璧だったアストンマーティンのLMGT3初優勝。コルベットとウラカンの衝突が追い風に

2024年09月03日 13:30  AUTOSPORT web

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COTAでWEC初優勝を飾ったハート・オブ・レーシングチームの27号車アストンマーティン・バンテージAMR LMGT3 2024年WEC第6戦ローンスター・ル・マン
 ハート・オブ・レーシングチームのアレックス・リベラスによると、同チームがサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)で達成したLMGT3クラス初優勝は「夢のようなレース」であり、この圧倒的勝利のカギは「起こりうるすべてのミスを出し切る」ことだったと述べた。

 9月1日にアメリカ・テキサス州のオースティンで行われた、WEC世界耐久選手権第6戦『ローンスター・ル・マン』。4年ぶりのシリーズ戦開催となったCOTAの6時間レースをポールポジションからスタートした27号車アストンマーティン・バンテージAMR GT3エボは、ライバルに順位を譲ることなくレースを支配し、92号車ポルシェ911 GT3 R(マンタイ・ピュアレクシング)に20秒差をつけてフィニッシュした。

 これはチームにとって、またリベラス、イアン・ジェームス、ダニエル・マンチネッリ、そして今季2024年にデビューしたアストンマーティンの最新GT3カーにとって記念すべきWEC初優勝となった。

 また、この勝利によってアストンマーティンのオースティンでのWEC通算勝利数は『10』を数えることとなり、これまでのGTEプロとGTEアマでの成功にLMGT3のそれが新たに加わっている。

「まさにドリームレースのひとつだよ」とリベラスはSportscar365に語った。「シーズンが始まるときには、そのための準備をする。そしてこのようなレースの展開を夢見るものだ」

「でも、それはなかなか実現しないものなんだよね。いつも挫折や予期せぬ困難に直面するんだ。だけど今日は違った」

「今回はどのピットストップも完璧だった。戦略は素晴らしく、タイヤは完璧に機能していた。タイヤの内圧と温度はつねに適切な状態にあり、クルマ全体がレースの最初から最後まで本当に良いパフォーマンスを発揮していたんだ」

「接触することはなかったし、トラックリミット違反をとられることもなかった」

 トラックリミットについてはCOTAでのレース中にとくに多く取り上げられた。LMGT3だけでなく、ハイパーカーを加えた両クラスの複数のチームが限度回数の警告を受け、なおも違反を繰り返した場合には制限を超過としてペナルティを受けていた。

「レースの序盤にそのことについて何度も話し合っていた」とリベラスは述べた。

「トラフィックの対処やプロトタイプカーに抜かれる際は、トラックリミットに留意してそれらに対応するように、とね」

「ダウンフォースを失うとワイドに走ってトラックリミットを超えてしまいがちだ。だから積極的に行動する必要がある。しかし、言うのは簡単だけど実際にやるのは難しいものだ」

「今日、僕たちは潜在的なミスをすべて回避することに成功し、何も(ミスを)しなかった。だからこそ勝利を手にすることができたんだ」

 チーム代表兼ブロンズドライバーのジェームスは、レース序盤に85号車ランボルギーニ・ウラカンGT3エボ2(アイアン・デイムス)のプレッシャーを受けながらも順位をキープし、勝利への基礎を築いた。

 その後レースの折り返しを前に、“女性チーム”のランボルギーニは2番手のポジションを争っていた81号車シボレー・コルベットZ06 GT3.R(TFスポーツ)とターン15で接触。マシンにダメージを負い、上位争いから脱落することとなった。

 ハート・オブ・レーシングチームのドライバーは、この2台をマークしていたことを認めた。「僕たちは間違いなく、とくにランボルギーニとコルベットの81号車と戦うつもりだった」とリベラス。

「あの2台は僕たちと近いパフォーマンスを持っていたが、ランボルギーニとコルベットが接触して、ランボルギーニが(車両の修復のために)ピットガレージに戻ってきた。それがこのレースの重要な瞬間だったと思う」

「これによって僕たちは後続とのギャップを拡げることができた。すると突然、レース全体が少し違ったものになったんだ」

「(ジェームスとマンチネッリからステアリングを受け継ぎ最後に)クルマに飛び乗ったとき、まだレースは2時間半ほど残っていたけれど、充分なマージンがあったから僕としては楽な状態でドライブすることができたよ」