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モンツァを訪れたアウディF1のビノット、ザウバーの現状は「受け入れられない」有能な人材がいる一方で課題は多いと分析

2024年09月02日 17:00  AUTOSPORT web

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2024年F1第16戦イタリアGP マッティア・ビノット(アウディF1のCOOおよびCTO)
 アウディのチーフオペレーティングオフィサー(COO)及びチーフテクニカルオフィサー(CTO)に最近任命されたマッティア・ビノットは、2026年にアウディが全面的に引き継ぐことになるザウバーチームの現在のパフォーマンスについて、大きな懸念を表明。F1第16戦イタリアGPを訪れたビノットは日曜日のレースを前に、率直に状況の評価を行い、チームがコンストラクターズ選手権で最下位に沈んでいる状況はアウディにとって「受け入れられない」ことだと語った。

 ザウバーは今年ここまで厳しいシーズンに耐えており、いまだにチャンピオンシップポイントを獲得していない最後のチームのままだ。アウディの今後の関与が新たな変化と期待の波をもたらすだろうが、現在の状況は、チームの新たなリーダーシップとアウディ上層部の間に不安を引き起こしている。

「我々にはこれを受け入れることはできない」とビノットは率直にコメントした。

「このチームは将来、勝利チームにならなければならないと思う。そしてそれを実現する唯一の方法は、前進を始めることだ。将来のために筋肉を鍛える必要がある」

「つまり、改善する必要が確かにあると考えている。それは我々自身にとって重要なことであり、チームにとっても重要なことだ。ブランドにとっても、我々のパートナーにとっても重要だ。とにかく、我々は現状を受け入れることはできない」

 アウディの長期ビジョンはザウバーを競争力を持ち合わせたレースに勝てるチームに変えることだが、即時改善が不可欠だと強調したビノット。グリッド後方で苦戦が続いていることを、無視したり野放しのままにすることはできないと明言した。

「ザントフォールトでのレースで最下位と最下位から2番目だったという事実、そして(ここでの)予選でも前のマシンから離されて同じ順位だったという事実の後ろに隠れることはできない。だから、改善のために努力を注ぐ必要がある」

「短期から中期、長期に至るまで、すべての優先事項と取り組みのバランスを取る必要がある。しかし今日のポジションが我々にとって十分なものであるとはまったく思えない。非常に手痛いものだ」

「先ほども言ったように、筋肉を鍛え、向上させる必要がある。なぜなら、強固な基礎は一朝一夕でできるものではないからだ。チームは毎日、一歩ずつ継続的に進歩していく必要がある。だからできるだけ早く始めるというのが私の意見だ」

 8月1日にアウディとザウバーで正式に職務を開始したビノットは、チームの現在の能力と将来の可能性を綿密に分析してきた。ビノットは、ザウバーをレースに勝てるチームのレベルまで引き上げるためには、かなりの作業が必要であることを認めている。

「数週間ではすべてを見ることはできない。確かに、見つけたり目にしたりするものについては第一印象しか持たないだろう。それはヒンウィルのシャシーでも、ノイブルクのパワートレインでも同様だ」

「しかし素晴らしい人材がいると思う。我々には勝利チームになるための明確な意図と目標がある。しかし、確かにやるべきことはたくさんある。それが最初のフィードバックだ」

 ビノットは、豊富な経験と十分なリソースを持つチームが長年優勢を占めてきたF1における競争を考えると、ザウバーの変革は決して簡単なことではないと認めた。

「我々は長年F1に参戦してきたチームと競争している。彼らは上から下まで大規模な組織だ。そして我々はそうではない。人材、組織、ツール、プロセス、方法論、設備の面で強化する必要がある。ヒンウィルで行っていることと、ノイブルクで行っているパワートレインに関する取り組みを統合する必要があるのは確かだ」

「そして、それはカルチャーと考え方の問題でもある。なぜなら、勝利チームになるためには、要求されていることに対する考え方を変えることが重要だからだ」

 アウディのCEOを務めるゲルノート・デルナーもビノットの意見に同意し、F1での成功への道のりは長期にわたる取り組みだと認識している。デルナーは昨年9月にアウディに加わって以来、トップに立つまでのスケジュールには調整が必要かもしれないと認識するようになったと述べた。

「我々はF1プロジェクトを非常に長期のプロジェクトだと考えている」とデルナーは述べた。

「昨年9月に私がアウディに入社した後、我々はプロジェクトの評価を行い、最終的に我々が見出したセットアップに行き着いた。また、スケジュールをより現実的なものに再調整したかもしれない。解決方法についていくつかの側面を議論中なので詳細は話せないが、我々は時間に関してはかなり現実的だと思う」