理不尽に切れる上司に言い返したいと思っても、大抵の人は言い返せないものだ。しかし、兵庫県の50代女性は30年ほど前、大手の電機会社の下請工場で勤めていた頃、衝撃的な体験をした。
「ある時に男性新入社員が主任としてやってきました、当時の私と同い年の二十代だったと思いますが、彼は気さくな感じで工員さん達と良く雑談して私とも気さくな感じで……」
女性やほかの社員たちに対しても友好的で、良い主任だと思っていた矢先、事件が起きた。(文:真鍋リイサ)
「わかった、消えたるわ!!」と上司に切れ返す
その工場は毎日3、4本のラインをフル稼働しており、忙しかったようだ。そんなある日、女性は主任に突然罵倒されたといい、その顛末を回想した。
「『全部オマエのせいじゃ!』と全工員がいる目の前で指を刺されながら罵って来たんです。意味がわかりません。反論しますが『全部オマエのせいにするのがいいんじゃ!』理由を聞いてもこの一点張りです。冗談ではなく本気なんです」
なんらかのトラブルがあったようだ。しかし複数の社員がグループとなり流れ作業をしていたようだから、誰のミスかわからないように思える。すべて自分のせいにされた女性はたまらなかっただろう。
そこで「全部私が悪いんだな!? 本当に私が悪いんだな!?」と女性が返すと、主任は「オウ!!オマエのせいじゃ!」と引かなかった。そのため女性は「わかった、消えたるわ!!」と言い、総務部に直行したのだった。
「この主任の言葉のまま抗議しましたが、当時はセクハラやモラハラなどの言葉なんてない時代です、当然ですが問題にもなりません。総務部からは私が『我慢してくれ』との返答です」
女性は抗議もむなしく、覚えのない濡れ衣を着せられてしまったという。
「この主任とはその後も何度もなんの責任を負わされるのかわからないやりとりをしていました。この主任ですが、このやり取りのあと数年で退職しました。最後まで意味のわからない責任を負わされましたねぇ」
これは30年前の話だから、現在はこんな理不尽な対応が取られていないと思いたい。