俳優でエッセイストの池波志乃が11日、都内で開催中の『第24回JAPANドラッグストアショー』でスペシャルトークショーを行った。同展示会内で発表された「Men's Beauty アワード」において昨年ライフスタイル部門を受賞した中尾彬さんと長年、おしどり夫婦として親しまれた池波。今年5月に中尾さんを亡くして以来、初めてのイベント参加となった。
【写真】大きく映し出された中尾彬さんの写真と池波志乃 「中尾が亡くなりまして115日目。終活をして覚悟をしていたけどあまり急に逝ってしまったので、一時しょげていまして。こういう場に出させていただく人前に出るのはきょうが初めてなのでドキドキしています」と緊張気味。「こういう場は2人のことが多かったものですから。去年ここに『俺はなにをもらったんだろう』と言っていたのを覚えています」と回想した。
実はメガネマニアだったという中尾さん。亡くなったときに数えると100個ほどあったといい「そのままは使えないのでレンズだけ変えたり、お友達やスタッフにお分けした。指輪をもらったことがないので中尾さんがくれるのはメガネ。普通なら、指輪なんでしょうけど持っていないのでもらったメガネをつけてきました。連れてきてあげようかな、と」と昨年に買ってもらったという青いメガネ姿でほほ笑んだ。
結婚生活は46年。「半分仕事仲間、後半は同志。一緒に片付けて、迷惑をかけてはいけないねって結果最後の15年くらいがべったり一緒にいた」と懐かしむ。「今は中尾さんのおかげでここに呼んでいただいて。最初はぐったりしていたんですけど、頑張らなきゃいけないなと。本人もギリギリまで役者でいるための努力をしていたので私がへこたれていたら怒られる。後始末をしているうちに、元気じゃないんですけど、なんとなく使命感で頑張れちゃった」と前向きに明かした。
中尾さんの亡くなる前後は「1人分の食事を作るのが難しい」と食欲をなくし「10キロ以上」やせてしまったという池波。「手順やお鍋の大きさを変えないとダメ。まだ研究中。なるべく書くようにして。中尾さんが食べたものだけを日記で書いてくれてたんです。それをみて、これは一人ではだめだなとか、じゃあこうしようとか。違うレパートリーもできてきて。真似して今遺してくれたノートに書いてます」と変化を報告した。
一方で「逆に『ひとりになったな』と思うのはご飯食べるときくらい」といい「まだ、(中尾さんが)仕事中みたいな感じ。ちょっと経ったら帰ってきそうな感じがします。どっちかが仕事でいないのは長年やってきたこと。そこに戻ったよう。ちょっと経ったら舞台で名古屋の劇場に片方が出ていてもう少し『ただいま』と言って帰ってきそうな気がしてしかたないです」とつぶやいた。
多くの報道陣に囲まれ取材を受けていると「こういうときに隣にいないのが…。きょうが初めてなので、すごく今初めてひとりな感じがします。隣にいないんだなと実感しました」と寂しさも。「いつもここ(後ろ)にいると思ってるんです。気に入って作ったお墓にもいなくて、リビングの仏壇にもいない。絶対、くっついてきてると思い込んでる。『ただいま』とは言わないで独り言も増えてきた(笑)。でも感じていたほうが幸せですね」とほほ笑んでいた。