スマスロ。スマートスロットの略称である。従来のパチスロはメダルを使って遊技をするものだったが、スマスロはデジタル管理になっており、貸しメダルボタンを押すと筐体に設置されたセグもしくは液晶にメダルの残数が表示されることとなった。
これによってメダルをユーザーが投入口に手入れする必要がなくなったことを、スマートと評している。評しているったって、業界が勝手にそう言ってるだけなのであるが。
そんなスマスロだが、コイン単価が高く、射幸心を煽る機種が依存症ユーザーに好まれる昨今の風潮もあって、荒波仕様のマシンがそれなりに好調のようだ（まあスマスロの大半か荒波仕様ですが）。
ただしコイン単価が高いということは勝負の結果も大負けか大勝ちかに振れやすく、500枚とか1000枚浮いたぐらいで満足していたユーザーにとってはとても手が出せないジャンルになりつつある。
しかし実際打ったことがある人なら納得できるはずだが、とかくスマスロは高設定であってもヒキが悪いと延々収支が横ばいか、ちょっとマイナス。下手をすれば数万円レベルの負債を抱えたまま閉店時間切れとなることだってある。
昔のパチスロの高設定もそうだけど、たとえ5とか6であっても勝てる保証がないのだ。逆を言えば低設定でも万枚ぐらい出ることはあるので、ギャンブル性の高いマシンを求めている末期の依存症にとっては、スマスロってのは魅力的なのだろう。差枚状況で救済措置が発動する、みたいな知っておかないと損する要素も多いのがウケの要因だったりするのかもしれない。（文：松本ミゾレ）
「もうスマスロはダメだ。さっさと撤去しろ」→それでも打つ
先日、5ちゃんねるに「今のスマスロは最低でも5万は必要よな」というスレッドが立っていた。スレ主も昨今のスマスロの博打性の高さを実感している様子だ。まあ5万は最低でも財布に入れてないと厳しいと僕も思う。
それこそ今、大手ホールはコイン単価が高いスマスロを大量導入している店が多い。マルハンなんて『ヴァルヴレイヴ』に『からくりサーカス』辺りは何度も増台して1シマを染め上げてることも。
これだけ増台を繰り返しているということは、お客が求めているってのもあるが、それほどまでに射幸性が高いマシンは抜けるということなんだろう。実際に高設定を入れているホールもあるが、高設定示唆演出が出てもあくまでチャンスの間口が広がるだけで、結局下位ATになんぼ突入させても、上位ATにぶちこまないとメダルは増えにくい。
もちろん下位ATだけでも1000枚ぐらい出ることはあるので、僕みたいなみみっちい勝負しかしない人間はそのままやめちゃうんだろう。
だけどスマスロを打ってる人って目的がちょい勝ちとかじゃなく、上位にぶちこんで大勝するってところにあるから、結局出たメダルを消し飛ばせるか、運よく上位突入させて数千枚獲得するかに二分化されがち。
まあ、メダルは出ないのであくまでも液晶表記での枚数になるので滅茶苦茶味気ないけれど、令和のパチスロ打ちの大半はこの冗談みたいな状況を既に受け入れているようだ。
僕の友達もしょっちゅうスマスロに挑んで5万ぐらい負けて、そのたびに「もうスマスロはダメだ。さっさと撤去しろ」ってぼやいてる。それでも打つのだから、よくお金が持つよなぁ……。
一度大きく凹むとリカバリーが難しいのは旧来のパチスロもスマスロも変わらない…
それこそ、前述のスレッドでも、スレ主は「朝一天井一回食らって単発ならもう絶望」と書き込んでいるが、スマスロの天井恩恵って別にそこまで強くないので、天井までお金を入れても、最悪の場合100枚ちょい分のメダル残高が加算されて終わってしまう。
もちろん少ないチャンスを生かせばリミットとして設けられている払い出し枚数。最大で19000枚までは出るんだけど……これもバカらしいよね。
僕は過去に20000枚以上出したことがあるので、せっかくノリに乗ってるときに強制終了されるとかやってられない。19000枚って等価換算でたった38万円にしかならない。しかしスマスロを打てば毎回5万じゃ足りなく感じられるほど荒いわけで、そうすると38万円分の負けに到達するなんて7、8回程度で十分になってしまう。
ストレートで負ければすぐになくなるのが38万円なのに、出玉に上限なんか設置されたらバカらしいことこの上ない。そのくせ上位ATに突入したとて必ず万枚とか出るわけでもないし、大抵の機種の上位AT期待枚数の中央値は平均3000枚程度なのだ。
これでよくスマスロを打つ人がいるよなぁと思うところだが、実際に高設定の多い地域に住んでいる知人はスマスロで結果を出しているので、ホール状況次第なんだろうね。
でもそんなに状況の良い店なんてそうそうない。少なくとも僕の住む地域には……うん、ないなぁ。ていうか、毎回5万ぐらいスマスロにぶちこんで、都度負けて10回に1回ぐらい万枚出したとして、それでもがっつりマイナスなわけで。そんで万枚なんてそうそう出ないし。
それならメダル機でちまちま下皿のメダルを数えながらぼんやり昔ながらの遊技をしていた方がいいように感じる。メダル機はコイン単価が低いものばっかりだし。1回の稼働で勝っても2万円、負けても2万円ぐらいの雑な遊びをしていても、スマスロよりかはお金の減りは少ない。
これはメダルを筐体に手入れする手間が生じるためだ。全てデジタル管理となるスマスロは、貸しメダルボタンを押すとすぐにクレジットに貸し出し分が全て貯まる。だからラクはラクなんだけど、そのせいで手入れの時間ロスが生じず、結果的にリールのウェイト時間は同じでも、お金がなくなるまでの時間は早くなってしまう。
まあ、そうは言ってもメダル機だって飲むときは飲むので、4万ぐらいやられることもあるし、結局設定依存ってことには変わりないんですけどね。でもジャグラーなら2万も入れる前に飽きるだろうし、大体5000円ぐらいでペカるから、なんだかんだ1万も使うことは稀だよね。20年パチスロやってて、ジャグラーで2万入れたことなんて僕は1回しかない。やっぱ1万入れたら頭おかしなって撤退しますよ。これはもしかすると、うちの近所のジャグの設定状況が良いだけかもしれないけど。
とにかく、スマスロは心臓に悪い。あんまりこういう話はしたくないけど、知り合いは消費者金融で50万枠ゲットして、2日でスマスロに飲まれてしまって今は流行りのスポットバイトをしている。また、別の知り合いは消費者金融で10万円枠からスタートし、たしか今は毎月の返済分しか返さずに30万まで枠を広げて使い切っている。
ホールを見渡すと、まだ20代ぐらいの男の子が荒いスマスロ打ってるけど、彼らはどこから軍資金を出してるんだろう。今はスマホとマイナカードがあれば、誰でも10万ぐらいは融資受けれるしなあ……。
思い返せば僕が20代の頃を振り返ると、コイン単価が高かった初代『吉宗』には中高年男性、あとキャバ嬢ばかり座ってて、若いのは大抵もっとマイルドなのを打ってたけどね。朝のキンパルとか初代鉄拳とか。
あの頃の方が日本人の平均所得は高かったので、余計に今、スマスロを打っている若い兄ちゃんたちの金の出所が気になる。汚いサンダルとよれよれのシャツ、腕時計だってしてないような彼らが、そんなに勝ってるようにも見えないし。
