香りのクリエイションを担当した調香師のカンタン・ビシュ(Quentin Bisch)は、独自の解釈で本来匂いのない塩に香りを与え、鼓動のように脈々と続く海から大地への動きを描いた。天然由来のマリンシーウィードとオークモスで海を表現し、すっきりとしたソルトアコードが香りを引き立てる。大地を表現するのはエネルギーあふれるジンジャー、パワフルなミネラル感のあるベチバー、アップサイクルしたシダーウッドで、これらの香りが重なり合い、恵み深い自然のイメージを喚起し力強い生命力を感じさせる。
フレグランスボトルは日本人アーティストの吉岡徳仁が手掛け、透明なガラスの力強い造形と、形を超える光を生み出すことで塩を表現した。ヴィジュアルイメージはイギリスを拠点に活動する映像監督で写真家のマーカス・トムリンソン(Marcus Tomlinson)が担当し、音響の振動を視覚化するサイマティクスという技術に着想を得て、エネルギッシュな塩の本質を描いた。
また、香りのインスタレーションの展覧会「ISSEY MIYAKE LE SEL D’ISSEY: Imagination of Salt」が、9月8日まで21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3で開催中。彫刻的で本質的な美的感覚を掻き立てるフォルムのボトルデザインのプロセスや、ビシュ氏のインタビューを含む同展のみのスペシャル映像展示のほか、デザインと香りが呼応する特別なインスタレーションを展開している。