自分はアドバイスのつもりでも、相手にとっては酷い押し付けに感じることもある。京都府に住む50代女性は、数年前にアートイベントの仕事で出会った同い年の人と「気のおけない友人」になった。しかし、あるときから言われた
「私だったら、しんどくても行ってちゃんと話し合う」
「私だったら我慢する」
といった言葉が辛くなり、絶縁することなったという。(文:真鍋リイサ)
彼女は自分のペースで「1日に何通も連絡をしてくる人でした」
元友人とは「LINEで頻繁に近況報告」をしあい、離れてはいるがお互いの住まいを訪ねあったり、また再びそのアートイベントで再会し、楽しい時間を過ごしたりした。お互いに言いたいことを言い合い、「高校の時からの親友のような感覚」だったという。
「『大人になってからでもこんな気の合う人と出会えることもあるもんなんだな』とご縁に感謝してました」
しかし、若干困った面もあったようだ。
「どちらかというと、私が彼女の日々の出来事や愚痴?を聴く側で、彼女は自分のペースで何かあった時には1日に何通も連絡をしてくる人でした」
ただ、当時の女性は聞き役に徹する余裕がなかった。「パワハラやモラハラもどきで仕事が長続きせず、半年ぐらいのスパンで転職している時期が続いていた」からだ。
「直近の仕事も同僚からの嫌がらせを受けたことで心が病みかけて1ヶ月で辞めてしまった時でした」
悩み事が続き、自分が相談する立場になっていた。友人は「これまでのように気にかけてアドバイスをくれていた」ようだが、だんだんと状況が変わって行ったようだ。
「『私だったら』と言う人の心理を調べてURLを送ってしまった」
友人は、こんな助言をするようになったという。
「私だったら、しんどくても行ってちゃんと話し合う」
「私だったら我慢する」 「私だったら……」 「私だったら……」
こう繰り返されて、しんどくなったと明かす。良かれと思ったアドバイスでも、疲弊した女性にとっては苦しいものだったのだ。その後女性は、思い切った行動に出た。
「『私はあなたじゃないんだよ……』と言いたくて、でもうまく言えずにいて、どういえばいいのかと、『私だったら』という言葉を使う人の心理を調べて、勢いでそのURLを送ってしまったんです」
友人に上手く言い出せなかったため、なんと検索したURLをそのまま送ってしまったという。これが絶縁の理由になってしまった。
「それ以来やり取りが途絶えました。『配慮がなかった』と謝りのLINEを何度か送っても既読スルーで返事はなく、絶縁されたんですよね……」
と落胆した様子だ。実は友人は「旦那さんとのことで心療内科に通っている人」だったそうで、確かにもっと気を遣うべきだったのかもしれない。
「これまでもなんとなくやり取りがチグハグになって距離がでてしまうというのもあったけれど、私だったら(笑)謝ってきたら仲直りしてしまうかな、って思うのは私で、そうもいかないものなのですね……」
結局、関係の修復はできず、女性には後味の悪いこんな思いが残ったようだ。
「彼女が『私だったら(嫌なことをされてもその人と)話し合う』って言ってたのは、なんだったのでしょうか……」
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