2024年08月28日 08:31 ITmedia NEWS
「就活の長期化で学生は疲弊しきっている」──電子工学や情報通信などの学会である電子情報通信学会は8月26日、就職活動に対する会長声明を発表した。声明では就職活動の長期化や、企業による研究成果の軽視などを問題視。企業や経済団体に向け、就職活動のスタイル変更を提案している。
声明では、就職協定廃止後からIT領域の就活市場が年々過熱していると説明。「1dayインターンシップ」などと称した説明会が行われ、就職活動が早期化していると指摘している。同学会は、これによって教育研究に費やす時間が減り、優れた人材の供給に支障を来すことから、企業とアカデミア双方に悪影響が出ると問題点を挙げている。
また企業が研究成果を十分に評価できていないことにも言及。海外では大学や大学院の卒業後、在学時の経験や研究業績を鑑みて選考しており、トップカンファレンスでの発表が就職活動になることも珍しくないという。しかし、日本では「元気でレベルの極めて高い研究を学会で発表する学生は大勢いるが、ほとんどが就職活動とは結びついておらず、また企業の注目度も十分ではない」と同学会。
これらを受け、同学会が提案したのは3点。就活スタイルの見直し、就活早期化の歯止め、学会での積極的な人材発掘だ。例えば企業に対しては、大学の研究室や学会などで普段から学生との接点を持ち、コミュニケーションを取るよう提案。「学会で活躍する学生たちの本当の姿を見てください」と述べている。