Q. 「牛乳は子どもの体によくない」って本当ですか?
Q. 「牛乳は子どもの体に害があるという話を聞きました。給食でも毎日飲まされているので、将来悪い影響がないか心配です。せめて家では、牛乳や乳製品を与えないようにした方がいいのでしょうか? 親にできることがあれば、教えてください」A. まったくのデマです。アレルギーなどがない限り、心配する必要はありません
まず結論からですが、「牛乳が体に悪い」「子どもに飲ませてはいけない」といった話は、まったくのデマです。2005年頃にある健康本がヒットし、その中で「牛乳は体に悪い」という説がセンセーショナルな形で紹介され、話題になりました。いわゆる「牛乳有害説」の発端はこのあたりからのようです。
もちろんこの騒ぎには牛乳業者も黙っておらず、公開質問状とその回答についての記者会見を開くなどして、明確に異議を唱える動きがありました。現在では、この牛乳有害説は間違った情報だったと知られています。
子どもたちにとっても、牛乳は学校給食でおなじみの飲み物です。実は、学校給食で「ミルク」を提供することは、文部科学省による「学校給食法施行規則」で定められています。
カルシウムは成長期の子どもに不足しやすい栄養素の一つですが、カルシウム不足はミルクで補うのが最も効率がいいことから、給食での提供が定められたのではないかと考えられます。
牛乳や乳製品は、カルシウムを効率よく吸収できるという点でも、栄養学的なメリットが大きいのです。
もちろん、牛乳に含まれている乳糖を上手に消化できない「乳糖不耐症」や「乳アレルギー」などの子もいます。そうした体質的な問題がある場合は、もちろん牛乳を飲むことができません。しかし、特に体質的な問題がない場合は、適量を上手に摂りたい飲み物だといえます。
安心しておいしく飲ませて、成長期の元気な骨を育てましょう。
平井 千里プロフィール
メタボ研究を行いエビデンスに則ったダイエットを教える管理栄養士。小田原短期大学 食物栄養学科 准教授。女子栄養大学大学院(博士課程)修了。前職の病院での栄養科責任者、栄養相談業務の経験を活かし、現在は教壇に立つ傍ら、実践に即した栄養の基礎を発信している。(文:平井 千里(管理栄養士))