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初来日イヤーはビッグレース制し“旋風” 先週末も重賞Vの豪の名手

2024年08月27日 17:00  netkeiba

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D.レーン騎手(撮影:下野雄規)
 JRAの短期免許第1号となったL.クロップ騎手が、1994年6月25日にJRAで初騎乗してから、今年でちょうど30年となる。これまでにのべ70人以上の名手が海の向こうから来日し、日本の競馬を盛り上げてきた。そんな短期免許を取得したジョッキーたちの軌跡とは。D.レーン騎手は19年に初来日すると、つぎつぎにビッグレースを制して“旋風”を巻き起こした。

 レーン騎手は1994年2月6日、豪州の西オーストラリア州出身。09年に見習い騎手としてデビューし、ほどなくしてヴィクトリア州に拠点を移す。13年には重賞初制覇を果たし、14年にはトラストインアガスト(Trust in a Gust)とのコンビでインビテーションS(豪G1)に挑みG1初勝利。14/15シーズンは香港でも腕を磨いた。17/18シーズンには日本から移籍したトーセンスターダムをトゥーラックHC(豪G1)、マッキノンS(豪G1)で白星に導き、ヴィクトリア州メトロポリタンの騎手ランキングで2位に躍進する。

 19年3月には豪州4大レースのひとつ、ゴールデンスリッパーS(豪G1)にも勝利するなど、着実に実績を積み上げていたが、日本での知名度は決して高くなかった。だが、同年4月に初来日すると、ファンや関係者の度肝を抜く活躍。短期免許での騎乗2日目の新潟大賞典でJRA重賞初制覇を飾ると、その後もノームコアでヴィクトリアM、リスグラシューで宝塚記念を制覇。さらに地方競馬の短期免許も取得して、JRAのオメガパフュームで帝王賞を制す。約2カ月の滞在期間で重賞7勝を含む38勝(地方含む)を挙げ、各社の見出しには「レーン旋風」の文字が踊った。

 強いインパクトを残して帰国したレーン騎手だったが、自国でも勢いはとどまるところを知らず。同年秋にはメールドグラースでコーフィールドC(豪G1)、リスグラシューでコックスプレート(豪G1)を勝ち、日本馬に海外G1タイトルをもたらした。リスグラシューは続く有馬記念でラストランを予定していたが、レーン騎手は免許期間を使い切っており、本来なら騎乗は不可能。しかし、矢作師がJRAに働きかけたこともあり、1日限定の免許が特例で発効されることになった。後押しを受けたレーン騎手はアーモンドアイら豪華メンバー相手に5馬身差の圧勝を飾り、春秋グランプリ制覇を達成。有終の美を飾るのにひと役買った。

 その後も20年、22年、23年、24年に短期免許を取得し、これまでに積み上げた白星は地方含めて「149」に達する。昨年はタスティエーラでの日本ダービー制覇もあった。すっかり日本のファンや関係者に愛される存在になった“ナイスガイ”。先週末もWASJ出場のため来日すると、日曜メインのキーンランドCをサトノレーヴで制覇した。レーン旋風はこれからも続きそうだ。