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『呪術廻戦』意味深な「指」の描写は何を意味する? ここにきて高まる“釘崎復活”への期待

2024年08月21日 08:00  リアルサウンド

リアルサウンド

©芥見下々/集英社

※本稿は『呪術廻戦』最新話までの内容を含みます。ネタバレにご注意ください。


 完結まで残すところあと5話となった『週刊少年ジャンプ』(集英社)連載の人気マンガ『呪術廻戦』。物語のボルテージはまさに最高潮を迎えているところで、読者たちによる考察も盛り上がっている。とくに注目を集めているのが、「指」をめぐる謎めいた描写の存在だ。


(参考:【写真】かっこいい!! 『呪術廻戦』虎杖悠仁のPVを始め、コミックの書影など


8月19日発売の『週刊少年ジャンプ』38号に掲載された第266話「人外魔境新宿決戦(37)」では、主人公・虎杖悠仁と“呪いの王”両面宿儺による戦いが描かれた。そのラストページで飛び出したのが、謎めいた建物の深部に縛り付けられた「指」の描写。何ら説明は記されていないものの、見た目から察するに、宿儺の指のうちの1本であり、これまで行方不明とされていた「最後の1本」にあたるものだと思われる。


  実は新宿決戦では、すでに「最後の1本」についての言及があった。乙骨憂太が領域展開を行った際、宿儺の術式である「御廚子」を使用したのだが、能力をコピーするために宿儺の指をリカに取り込ませたことを匂わせていたのだ。だが、ここで乙骨は「最後の1本」がまだ見つかっていないと発言しただけで、コピー術式のために使ったとは明言していなかった。今振り返ると、この言葉は高度なブラフだったのかもしれない。


  なぜそう言えるのか。その根拠は、最新話で描かれた“虎杖の左手”にある。これまでは特殊な装備に覆われていて見えなかったが、虎杖の左手は薬指と小指が欠けていた。小指の方は、宿儺が虎杖から伏黒恵の肉体へと受肉先を変えた際に欠損していたが、薬指については一切描写がない。おそらくはこれこそ乙骨がコピー術式のために“喰った”指なのではないだろうか。というのも虎杖の肉体には、宿儺の術式が刻み込まれているため、「御廚子」をコピーするための媒体として使えそうだからだ。


  だとすると今回意味深な形で登場した指は、まだ何のためにも使用されていない“余り”ということになる。順当に考えると、やはりこちらの指こそが本当の「最後の1本」だろう。


  ここからは推測になるが、呪術高専サイドは確実に宿儺を追い詰められるタイミングまで、この指を温存していたのではないだろうか。そこで浮かび上がるのが、釘崎野薔薇が復活し、“切り札”として活躍するという可能性だ。


■最後に主人公トリオの共闘が実現する?


  野薔薇といえば、遠隔で対象にダメージを与えられる芻霊呪法の使い手。とくに「共鳴り」は、人形(ヒトガタ)を介して相手の肉体の一部分に呪力を流すことで、本体の魂へとそれを反映させるという仕組みだ。宿儺の魂が宿っている指は、「共鳴り」のための格好の素材だと言えるだろう。遠く離れた場所から攻撃できるという点でも、宿儺の魂に直接ダメージを与えられるという点でも、野薔薇の術式がこの上なく輝く舞台が揃っている。


  しかも第266話では、今まで生に絶望しきっていた伏黒がわずかながら息を吹き返し、宿儺による肉体の支配に抵抗する気配を見せていた。今後さらに抵抗が強まるとすれば、虎杖と伏黒と野薔薇という主人公トリオの活躍によって、ラスボスを撃破するという王道のクライマックスが待ち受けているのかもしれない。


  問題は、野薔薇が「渋谷事変」にて一度死亡していることだが、現状の扱いは「復活の余地がある」という状態。死亡直後に処置を行った新田新の口から、「助かる可能性は0じゃない」と説明されていた。もし復活を果たすのであれば、この局面を措いてほかにはないだろう。


  ただし前回掲載された第265話では、虎杖が命を落としていった死者たちに想いを馳せる場面があり、その顔触れに野薔薇が含まれていた。これをもって死亡が確定したと捉える読者もいたようだ。


  しかしこれはあくまで虎杖の主観を反映した描写なので、本当に死亡が確定したとは言えないはず。むしろ呪術高専サイドは宿儺に情報が漏れないよう、虎杖に対して情報を徹底的に秘匿していたはずなので、「虎杖が知らないだけで野薔薇は復活していた」という可能性は十分ありえるだろう。


  なお作者の芥見下々は、これまでいくつかの媒体で物語の結末を匂わせるような発言を行い、読者に大きな衝撃を与えてきた。とくに有名なのが2019年のジャンプフェスタで、主人公トリオと五条悟を含む主要キャラクター4人について、“1人だけ死ぬか3人が死ぬか”のいずれかの末路を辿る……と匂わせていた。


  あくまでリップサービスだった可能性もあるが、今の展開はこの構想のうち、“1人だけが死亡する”ルートに向かっているように思えてならない。虎杖以外がほぼ死亡した状態にあるなか、伏黒と釘崎に復活の兆しが見えてきたからだ。


  もちろんすべては憶測の範囲を出ないが、完結までに残された5話で、すべての真相が明らかになっていくはず。ジャンプ+とゼブラックでは、245話分の『呪術廻戦』順次無料公開キャンペーンも始まっているので、過去のエピソードを振り返りつつ結末を予想してみるのも楽しそうだ。


(文=キットゥン希美)