Text by CINRA編集部
ドキュメンタリー番組『100カメ×福島第一原発』が8月19日22:00からNHK総合で放送される。
『100カメ』は気になる場所に100台の固定カメラを設置して人々の生態を観察するドキュメンタリー番組。今回は事故から13年、毎日およそ4千人が廃炉作業にあたる東京電力福島第一原子力発電所を舞台に、今なお高い放射線量のなかで闘うとび工、クレーン操縦士など全国から集まった職人たちが、被ばくを極力抑えるため、スピーディーかつ安全に作業を進めようと神経を尖らせる現場を観察する。映像素材は1000時間以上になるという。
取材したのは1号機で進む廃炉作業。放射線量の高い建屋付近の現場や、作業員のヘルメットにカメラを取り付け、次々と訪れる難題を切り抜ける職人技や連係プレー、被ばく量を少しでも減らすための「遠隔作業」「作業分担」といったこの現場ならではの工夫が明かされる。
また作業員の詰所・休憩所に設置されたカメラは、「家族を地元に残しての単身赴任なので、子どもとの時間を作りにくい……」「常に全面マスクをつけての作業なので、夏場は肌荒れ、ニキビが辛い……」など作業員たちの素顔を捉えた。
【撮影の舞台裏】
撮影交渉を始めたのは2022年4月でした。原発構内に持ち込むものは、カメラ固定用のネジ1本、充電用のケーブル1本にいたるまで、全て事前の申請が必要でした。撮影当日には持ち込む機材に申請内容との相違がないか確認も必須でした。撮影にあたっては機材が放射性物質で汚染されるリスクがあったので、作業現場に出るカメラはビニール袋やラップで覆う工夫をしました。そして、特に放射線量の高い作業現場には取材クルーがカメラの設置に行けないので、作業員の方にカメラを託す必要がありました。ヘルメットに取り付けるカメラも含め、できるだけ作業の邪魔にならないよう、取り付け方や設置場所について作業員の方々と事前に話し合いを重ね、撮影を行いました。撮影のあとには、機材が放射性物質に汚染されていないか、ネジやケーブルも含め1つ1つ全て検査を受けました。
【若林(オードリー)のコメント】
こんなリアルに(作業現場を)見たテレビ、他にないな。たまに福島とかでロケがあったりすると、今どうなってんのかなって思ってた。知ることができる範囲が限られてるし。
これからすごい気にしちゃうね、このニュース。
【春日(オードリー)のコメント】
日本全国からプロフェッショナルが集まってやっているんだね。日本の未来を背負っている方々だよね。
【制作担当・小林涼太ディレクターのコメント】
福島で5年間暮らした経験から、「今この瞬間に福島第一原発では、どんな人たちがどんな作業をしているのか知りたい」という思いで番組を企画しました。事故から13年経った今の現場の“体温”や“息遣い”が伝わればと思っています。