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あなたの「こわい」は何?弱さの多様性を発信するアートプロジェクト『ビッグデ絵タ』を紹介。展覧会も

2024年08月13日 18:10  CINRA.NET

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Text by CINRA編集部

アートプロジェクト『ビッグデ絵タ』が特設ページで公開中。また同プロジェクトの展覧会が8月17日まで虎ノ門のSIGNALで開催されている。

『ビッグデ絵タ』では、人には共感されづらくても、当事者にとっては切実な「こわいもの」や「こわいこと」を検索データから大量に抽出し、そのなかから参加アーティストが共感する「こわい」をピックアップ。それぞれが「こわい」をイラストによって表現することで、人間の「弱さ」の多様性を世の中に届けようとするプロジェクトだ。

参加アーティストは、塩谷歩波、大島智子、大橋裕之、カシワイ、たそやマロ、パピヨン本田、増田薫(思い出野郎Aチーム)、まつざきしおり、マツヤマイカ、矢部太郎(カラテカ)の10組。各アーティストたちは「電話がこわい」「映画館がこわい」「エレベーターがこわい」といったテーマをイラスト化している。

また一部アーティストのイラストはオリジナルグッズとして販売。Tシャツやステッカー、キーホルダーなどがラインナップしている。

この記事では参加作家の作品とコメントを前後編に分けて掲載。今回はパピヨン本田、増田薫(思い出野郎Aチーム)、まつざきしおり、マツヤマイカ、矢部太郎を紹介する。

展覧会では塩谷歩波、大島智子、大橋裕之、カシワイ、たそやマロ、パピヨン本田、増田薫(思い出野郎Aチーム)、まつざきしおり、マツヤマイカの参加作品を展示しているほか、一部アーティストのグッズが販売されている。また、来場者がそれぞれの「こわい」を書いたカードも掲出されている。入場無料。

パピヨン本田/「他人からの評価」がこわい

【パピヨン本田のコメント】

CINRAで連載している美術のトラちゃん23話目の1コマをもう一度別の角度から描きます。次の展示こそは!と意気込むけど、少しだけ自分の限界も見えてきてしまったトラパパと、それを手伝うりゅうたろう君です。

自分が車に乗るときは大体いつも、展示のための作品を運ぶ時です。まだできてない作品や、何を言われるかわからないし自分でも意味が分かってない作品を載せて、こわさ不安さいっぱいで道を行きます。でもワクワクもします。

ホントの瞬間はいつも死ぬほどこわいものだからってヒロトも歌ってました。

増田薫/「宇宙」がこわい

【増田薫のコメント】

意味不明空間こと宇宙。子どもの絵画教室をしていたことがあって、よく「宇宙描きたい!」という子に内心(ただ真っ黒いだけの絵になるから嫌だな…)とか思いつつ宇宙の図鑑とか見せていました。完全に自分の主観として、宇宙が好きな子の9割はブラックホールのことが大好き。全てを吸い寄せる重力の塊。意味不明空間な宇宙の中でもとりわけ謎すぎる存在、ブラックホールの重力に吸い寄せられるこどもを何人も見てきました。写真には映らないけど、本当はなんかでっかい目があって、一度目が合うとそこから目が離せなくなっちゃうのかもしれない。

まつざきしおり/「グループチャット」がこわい

【まつざきしおりのコメント】

突如開始される会話の高速キャッチボールについていかなければいけないので、ふとスマホを見た時に未読数が2桁を超えていたり、自分だけ返事をし損ねていたりすると心臓がドキリとします。

また、1人1人の本音を深読みし過ぎて気を遣ってしまったり、顔や声が見えない聞こえない中でより一層感じる無機質な同調圧力に疲れてしまいぐったりすることも…。

ママ友チャットで場を盛り上げるためにテンションを上げて放った冗談がボブスレーの勢いで滑ってゆき、自分のメッセージを最後に既読数だけが虚しくついてゆく恐怖といったらありません。

マツヤマイカ/「深海」がこわい

【マツヤマイカのコメント】

人間の約60%は水で出来ている。人間に水は必要不可欠なもの。

そして海。地球の半分以上を占める海は、未だ約15%しか解明されていないようだ。

この地球で私たち人間が生きている範囲より遥かに大きくて、未知なるものこそが、深海。

私は深海が怖い。

自分の想像力でしか描けない真っ暗な深海が、怖い。

ありえない程大きな魚が存在するのだろうか。人間では到底敵わないような高知能生物が存在するのだろうか。はたまた、深海の底には私たち人間と同じような世界があったりして。

共存しているようで、全く別の世界だ。

様々な妄想とともに、微かな期待もある。

だけどきっとこの先も、この恐怖からの克服は不可能。

それなら少しでもポップに、ラブリーに深海を表現して、ポジティブに変換してみたい。

そんな気持ちで、比較的よく知られている深海魚にリボンを付けてみたり、キャッチーな絵柄に落とし込んでみたりした。

そしてロリータが大好きな、深海恐怖症の少女。

特定のものに対して「怖い」とはネガティブな感情だが、「個性」でもある。

根底にある恐怖を表現としてあえてポジティブに変換することで、自分が少しだけ救われた。

自分の中の「恐怖」と、少しだけ向き合えた気持ちになれた。

矢部太郎/「自己採点」がこわい

【矢部太郎のコメント】

自分で自分に点数をつけてと言われるのが怖いです。そもそもなにかに点数つけるのも怖い気もします。正解、不正解でわけてしまうのも怖いです。ある時、自己採点を求められた人が「三点満点で二点です」と答えていて、あっいいなと思いました。大体のことは「三点満点で二点」そう思っていたいです。