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真夏にやってはいけない、モバイルバッテリーの使い方 損傷や発火の危険性も

2024年08月13日 11:51  ITmedia Mobile

ITmedia Mobile

夏場に利用するモバイルバッテリーのNG行為をまとめる

 スマートフォンが日常生活になくてはならないものになるにつれ、出先での充電のためにモバイルバッテリーを持ち歩く人も増えてきました。小容量のものは価格も手ごろなので、複数個持っているという人もいるでしょう。そのうち1つをカバンに入れっぱなしという人もいるかもしれません。


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 ただ、高温になる夏場には、モバイルバッテリーの保管場所には注意が必要です。高温になる場所に放置するとバッテリーの劣化の他、損傷や発火の危険性もあります。そこで今回は、夏場のモバイルバッテリーの管理について、注意したいポイントをまとめてみました。


夏場におけるモバイルバッテリーの管理について解説する


●高温下に放置しない 車内放置にも注意


 スマートフォンやモバイルバッテリーに搭載されているリチウムイオンバッテリーは、高温にさらされることで内部の化学反応が活発になり、バッテリーの劣化につながります。それだけではなく、最悪の場合は異常な反応によりバッテリーが膨張・破裂、そして発火する危険性もあります。


 モバイルバッテリーの説明書をよく見ると、必ず使用できる温度範囲が書かれているはずです。例えば、Ankerの「Anker 321 MagGo Battery (PowerCore 5000)」は、動作温度は約0度~40度となっています。


 近年は、日本でも夏場に40度を記録することが珍しくなくなっているので、屋外での利用時には注意が必要です。キャンプなどのアウトドアレジャー時に、モバイルバッテリーを入れたカバンを炎天下に放置してしまうと軽く40度を超えてしまう可能性があります。


 特に注意が必要なのが車の中です。夏場の車内が高温になる、というのは多くの人が理解していると思います。JAFが2012年8月に実施したテストによると、外気温35度の状態で炎天下に駐車した車内のダッシュボードは、最高で79度を記録したとのこと。ダッシュボードで目玉焼きも作れたようです。


 NITE(製品評価技術基盤機構)も、2024年7月12日にモバイルバッテリーを車内に放置しないように注意喚起を行っています。


 最近は、ソーラー充電機能を備えたモバイルバッテリーも増えています。充電のためにダッシュボードに置きっぱなしにするということがないよう注意したいところです。


●ポータブル電源の車内放置もNG


 アウトドアレジャーや防災用にポータブル電源を使用している人も多いと思いますが、その多くはリチウムイオンバッテリーを使用しています。当然ながら、車内放置は厳禁です。モバイルバッテリーと同様にポータブル電源にも動作温度が定められており、車中泊用途でも人気の「Jackery ポータブル電源 240 New」では「-10度~45度」となっています。


 国立研究開発法人科学技術振興機構低炭素社会戦略センターが2020年に公開した「リチウムイオン電池の劣化挙動調査」によると、40度の環境に400日間放置すると容量は94%、60度では80%以下に劣化が進むことが分かったとのこと。


 ポータブル電源は毎日充電しても10年使えるとうたうものが多いものの、高温環境に長期間放置するとその寿命が縮んでしまうわけです。ポータブル電源をダッシュボードに乗せることはないと思いますが、直射日光が差し込む場所では、ダッシュボードと同様に高温になることが考えられます。ポータブル電源は車内に積みっぱなしにするのではなく、室内で保管するようにすべきでしょう。


●保管時には80%程度の容量にとどめておきたい


 モバイルバッテリーやポータブル電源を保管する際には、以下のような点に注意するといいでしょう。


・高温になる場所に置かない


・湿度にも気を付ける


・80%程度の容量で保管する


 高温の場所を避けるというのは、上で説明した通りの内容です。車内に限らず、室内であっても日光が差し込む窓際などは避けましょう。また、特に夏場には湿度にも気を付けたいところ。モバイルバッテリーやポータブル電源に限らず、電子機器一般に当てはまりますが、高湿度な環境に放置すると内部の腐食や劣化を招く危険があります。


 特にポータブル電源は邪魔だからといってしまい込んでおくと、いざというときに使えないということも。基本的には、人が快適と感じる場所なら問題ないので、リビングや寝室の隅などに置いておくのがいいでしょう。モバイルバッテリーの保管も同様です。


 保管時のバッテリー容量ですが、過充電や過放電を避け、いつでも使える状態を維持するためにも80%で保管するのが望ましいです。バッテリーは自然放電してしまうので、長期間使わない場合でも半年毎など定期的に充電を行い、容量を維持するようにしてください。