パチンコは、勝てない。基本的に勝てないのが当たり前。だって勝てるギャンブルだったら、全国各地に数千ものパチンコホールなんてないから、そんなのは誰もが分かっていることだ。
しかしパチンコ依存の人たちは毎回毎回「今日こそは」と思いながらなけなしの数万円を握りしめてノコノコとやって来る。そして数時間後には「もうパチンコいいわ、飽きた。時間の無駄」とか言ってネットに文句を書き込む。
そんでもって次の給料日直後には、「今日こそは」と思いながらもはや何度目かも分からない大復讐戦に挑む。パチンコをやればやるほど赤が膨らむのは、もうしょうがないこと。
だけど立ち回り次第では、勝ちを重ねることもできる。
極端に言えば、結局のところ釘が開いてよく回れば、そんな台を毎日毎日打ってりゃそうそう負けはしないわけで。パチンコで負けてる人がこの世に大勢いるのは簡単なことで、釘が締まった台がほとんど全ての設置台数を占めている店ばっかりだからに他ならない。この、釘が開いているという条件を大前提に、今日も無駄話をしたい。(文:松本ミゾレ)
「ボーダー管理と変則打ちはマスト」「店は敵と思え」
先日、5ちゃんねるに「かつてパチンコで負け続けたワイがプラス収支に持っていくマインドセットを伝授する」というスレッドが立っていた。マインドセット、つまり考え方を変えることで結果も変革できるってのは、パチンコにも該当するとスレ主は主張しているわけだ。スレ主の考え方は、大きく5つからなる。
順を追って紹介したい。最初に書いておくと、彼の言うことって確かにちゃんと順守すれば勝てるようになるはず。つまり価値ある考え方ではある。実行できるかできないかはさておいて。
「その1 ボーダー管理と変則打ちはマスト。当たり前のことやがこれが大前提。演出はノイズと思え。いかに少なく入れて多く出すか。それ以外考えたらあかん」(※句読点は筆者、以下同)
まずはボーダー。つまり回転数がボーダー以上にちゃんと回っている甘釘台を打つこと。
そして止め打ちやひねり打ちといった、変則打ちで出玉の増加が見込める台であれば、たとえハウスルールで禁止されていても遂行しろ、ということなのだろう。
いきなり「そんな甘い台が近隣にないです」って人も多く該当するような話だろう。なので、そういう環境にいる人はここで脱落。中古のPSPでも買ってギレンの野望でもしててください。
「その2 店は敵と思え。当たり前やが、パチンコ店は営利企業や。店が勝てる設定が基本。釘読みもできないで適当に座れば負けるのは必然」
これについてはまあ文字通りに受け取ればいいでしょう。次。
「その3 店のクセを見抜け。毎日閉店後に全ての釘を打ち替えるのは不可能や。店ごとに調節するポイントがある。効率がいい方法はボックス単位のメイン機種に狙いを絞り、どこで回転数を落とすように調整してるのかを調べることとせよ。ヘソか風車か道かジャンプかはたまたネカセか。これを知れば台選びが格段に早くなる」
店ごとの調節のクセに気付け、という話である。つまり毎日通ってみてねってことで、この時点でニート以外はお呼びじゃないってことになる。
何故なら、釘読みはできてもさすがにネカセ(台の角度のこと)の甘い、辛いはお金を入れて打たないと分からないだろうし。一方でボックスで入れるメイン機種は甘く使うか、渋くする場合にも一律でマイナス調整にしがちだと、この人は考えているようだ。たしかにまあ、そういう店もあるっちゃあるね。
ただ、同じボックスであっても調節を都度1台ずつ変えるホールもある。その辺も通い詰めて把握しろってことなんだろう。
「お金増やしたいならパチンコ代全部定期預金」
「その4 パチンコを好きになるな。そうはいってもパチンコ好きだから打ちたいよな。楽しいよな。お店入ったらあんまり回んなくても打ち続けちゃうよな。わかる。だからパチンコを好きになってはダメなんです。あなたはパチンコではなくお金を好きになってください。心の隙間がある限りパチンコでは勝てません」
まあ、これも真理と言えば真理。ボーダー理論とか分かってても、どうしても趣味打ちに走る人っているからね。現在のパチンコなんて特に「数万使ってもラッシュ入れちゃえば何とかなりそう」みたいなことを想起しがちなスペックだし。そこが罠なんだけどね。
この人もさっき書いてたけど、投資は少ないに限るから、好きかどうかで台選びはしちゃダメってことになる。
「その5 これが最後です。そもそもパチンコでお金を増やすのは効率悪いと心に刻む。パチンコでお金増やすのってすげえ効率悪いんすよね。体は拘束されるし。365日毎日期待値ある台稼働するのはほぼ無理。自分が氷山の一角になる決意を持たないと無理です」
と、最後には効率の悪い小遣い稼ぎであるという話をしている。
効率はもちろん悪いし人生の無駄遣いでしかないんで、言ってることは正しい。以上5か条をもって、彼はこれらをしっかり理解してパチンコをすれば、負けはないと主張しているわけだ。
概ね、その通りだと思う。ここまで冷徹にパチンコに接していていれば、やはりいつかはプラスに転じちゃうよね。現代のパチンコでは、ボーダーの良い機種をじっくり打ち込むことが唯一の攻略法だし。
一方で、「つかお金増やしたいならパチンコ代全部定期預金すれば100%勝てるからな。自分の時間と体は自由だし。負けてストレス溜まることもないし」とも書いていて、まあそれはそうだと思う。
「自分は遊び金でギャンブルをしています」と割り切ればいいのでは
前項で紹介した5か条ってのは、しっかり守れば誰でも収支をプラスに持っていけるものだと思う。残念ながら「その1」の時点で、近隣に条件に該当する店がなくて実践不可能って人ばっかりだろう。これはまあ、店が悪いというか、業界が下火なのが悪いというか。だから実践しようにも「できねえじゃねえかよ」と呆れた人も多いだろう。
でもパチンコ依存症の人ってのはどうせ勝利の5か条だのなんだの言い聞かせたところで、守ったりしない。だってパチンコユーザーなんてほぼほぼ意志が弱い人なんだもの。恐らくだけど、この世で一番意志が弱い人たちじゃない? パチンコユーザーって。
それに、言っちゃなんだがこのスレ主だって、果たして本当にパチンコで負け続けたのが悔しくて打ち方を見直し、収支をプラスにしたかどうかも分からない。なにせ証拠の収支表スクショの一つも貼ってないんだもの。
たとえば数年分のグラフを出して、自分が勝つために努力し始める前と後とを比較できるようなエビデンスとして提示してくれれば説得力が増すわけだけど、長文でアレコレ言う割には自分が過去にどのぐらい負けてて、5か条導入後にはどのぐらい巻き返したかっていう肝心要の数字の話もしないからなぁ。
僕はパチの収支にはこだわるので18歳でデビューして以来ずっと記録しているし、この手の話をする時にはこれまでの記事でもそのスクショは添付してきたので、余計に「ん~、どうかな(笑)」って思ってしまう。
だって、自慢したいでしょう。自分の巻き返した収支のグラフなんて。
……ま、それはさておき本題に戻りましょう。今回ここで引用した勝つための基本的なルールなんて、多分生涯収支1000万とかマイナスの人ですら、ちょっと考えれば似たようなことを主張できるはず。つまり多くのパチンコ依存の人は、ちゃんとした勝ち方を分かっていながら、それを履行する環境にないということになる。
そうなってしまうとパチンコってなんでやってんの? という話になるよね。その結論は至ってシンプルで、依存症だから打ってるに他ならないのだ。それ以外の理由で、何が悲しくてこの娯楽が多い時代にパチンコなんかやるものか。
ゲーム性が面白いとか言う人もいるが、金が掛かってるからモノの見方にバフが掛かっているだけで、あんなのお金が掛かってなかったらただうるさくてまぶしいだけの趣味の悪い仏壇である。
だからもういっそ、パチンコ依存の人たちは下手に勝ちにこだわることなく、使えるだけのお金を使って勝っただの負けただの言いながら、存分にパチンコそのものを楽しめばいい。負けて当然なんだもん。